いよいよ総選挙が公示された。

これから9月11日まで熾烈な選挙戦が繰り広げられる。県内も全国的に話題を呼ぶ選挙区がないとはいえ、勝敗の行方は必ずしも定かでない。それにしても熊本県民は選挙好きなように見える。飲み屋さんでもゴルフ場でも、選挙の話題がいつも飛び交っている。しかも単なる論評でなく、当事者としての立場からの話が多い。情勢や裏話にもやたらと詳しい人が多い。僕もあちこち回ったが、こんな県は珍しいと思う。

なぜだろう。もともと政治好きな県民性ということもあろう。加えて地縁、血縁のしがらみが強く、それに会社や職場、同窓会関係などが、複雑に絡み合い、選挙の部外者になりにくい環境にあることは事実だ。いろんな付き合いから、どこかの陣営にごく自然に組み込まれていくのだろうか。特に高齢者になるほど、こうした傾向が強いように見える。

昔、佐賀県で記者として総選挙を担当したことがある。選挙の神様と言われている県議がいた。選挙情勢にやたらと詳しい。町村単位だと「今回はあの村では六票がA陣営からB陣営に移ったからB陣営は○○票だ」という。誰かがB陣営に関係の深い家に嫁入りしたので、その関係で票が動いたとか。そんな情報の集積で票読みをやるそうだ。さすがに都市部の票は読みにくくなったとボヤいてはいた。それでも開票が終わってみると各候補者とも神様の票読みとは数百票の誤差しかなかった。

その後も各地で選挙のたびに担当記者をやらされた。今は知らないが、当時は県警の票読みもかなり正確だった。なんでも駐在所単位で票読みをして、それを集積するとか。宗教団体の票読みも正確だった。こちらは有権者に投票を依頼するごとに、確実に投票してくれる人がいれば◎、ほぼ間違いなければ○というように色分けして票読みをしていた。しかし選挙の回数を重ねるにつれて票読みは難しくなっていった。大票田の都市部になるほど地縁、血縁のしがらみが薄くなり、票読みができない。政治への無関心層や浮動票が急激に増えてきた要因はもっと大きかった。

今回の選挙で新聞社やテレビ局の世論調査を見ていると、3割前後の有権者がまだ、態度を決めかねているようだ。言ってみれば浮動票の行方が当落を決める。ある政治学者の研究によると浮動票の5%が動くことで選挙結果は激動するという。わずか一票でも、その集積は大きなうねりになり、日本を動かすというわけだ。「自分一人ぐらい投票に行かなくても結果に変化はない」とは思ってもらいたくない。

今回の総選挙は政権の行方を賭けた、まさに節目の選挙だ。単に郵政法案に賛成か反対かを問うだけではない。年金・社会保障、国家財政、、景気対策、外交など山積する政治課題に対応するのにどの政党が最適かを問う選挙であることは間違いない。棄権などとんでもないことだ。KABでは9月11日の投開票日まで全社を挙げて選挙報道に取り組んでいく。

ニュースラウンドでは有権者の声を聞き、候補者の訴えを伝え、世論調査も二日に分けてやる。「注目の選挙区を行く」は三日間放送する予定だ。

ぜひご覧になってよりよい候補者を選んでほしい。

コケボウのひとこと

昨今の投票率の低さは何ゆえか。
投票に行かない一因に情報提供の少なさはない?

KABではわかりやすく、きめ細やかな取材で、選挙報道を行っている。
1票を投じる参考にきっとなるはず。

お伝えする側としては、投票日は当然仕事だし、新社屋への引越し日だけど、早起きして選挙に行こう!