仕事柄、あちこちの会合やパーティーに顔を出すことが多い。熊本に帰ってきて、気が付いたのは、どんな集まりでもでもやたらと挨拶や祝辞の数が多く、しかも長いことだ。だいたい1時間は覚悟しなければならない。おまけに挨拶する顔ぶれもほぼ決まっている。ご馳走を目の前にしての長い挨拶にはうんざりする

ある弁護士の話では、温泉で結婚式があったそうだ。祝辞が長引きそうだと思い、温泉にのんびり浸かって式場にいったら、まだ祝辞が続いていたという。ありそうな話だと、妙に納得した。あるパーティーでは、乾杯の音頭とりが長々と話し始め、みんないらいらし始め、「早く、乾杯しろ」という怒声を聞いたこともある。

僕も、あちこちで挨拶を頼まれることが多い。先輩の教えによると、挨拶は3分以内にしろということだった。どんなに面白い話でも聴衆の我慢の限度は3分だそうだ。つまり3分以上の挨拶はだれも聞いていないと思ったがいい。場合にもよるが、僕はこの鉄則を守ることにしている。僕が聞いた一番短い挨拶は、「ワオー」と大声を発し、続いて「おわり」というものだ。聞いている人はなにがなにやら分からなかったろうが、それでも短かったので拍手が起きた。

作家の丸谷才一の本に「挨拶はたいへんだ」というのがある。確かに挨拶はたいへんだ僕も3回は失敗したことがある。ある県の高校野球の表彰式で「甲子園での優勝間違いなし」などと持ち上げ、最後に「まあ、半分、お世辞だが」と締めくくった。球場での受けはよかったが、あとで「不謹慎だ」という抗議が10件近く来た。

一度は、おかあさんコーラス全国大会でのこと。特別協賛がマヨネーズで有名な○○という会社で、担当者から「○○マヨネーズというのは社名ではない。絶対に言わないように」と何度も釘を刺された。にもかかわらず演壇で○○という社名抜きで「マヨネーズ会社」と言ってしまった。3度目は思い出すだけで赤面するので、割愛する。

丸谷の本によると、挨拶は必ず原稿を書けという。僕も原稿を書くが、これも難しい。事前に準備すると、臨場感がないし、話し言葉にならないし、面白くない。ということで、原稿はポケットに入れたまま、半分以上は、別のことをしゃべることにしている。原稿は最低保証というか、安心のためだ。参院議長や埼玉県知事だった土屋義彦氏は、やおら懐から封書を取り出して、数行読むと、「役人の書いた挨拶は面白くない」といって、あとは自分の言葉で挨拶していた。結婚式でも、上気してシドロモドロの挨拶に心を打つ内容が多いのは、やはり自分の言葉で本音を話すからだろう。

さて先月、KABの社屋落成記念パーティーを2回に分けて開いた。問題は挨拶や祝辞をどうするかだ。来客は全て大事な来賓だから、祝辞をだれとだれに頼むというわけにもいかない。散々迷った末、挨拶と乾杯を僕一人ですることにした。もちろん3分以内だが、ひょっとしたら、ちょっと長かったかもしれない。いろんな批判もあったようだが、来客が大喜びしたのはいうまでもない。

これから短い挨拶のパーティーが増えて欲しいものだが、やはり難しいか。

コケボウのひとこと

社長のあいさつ・・・そんなに短かったんでしたっけ??

社長は、副業(CMタレント)で見せる顔とは全く違い、わたくしたち社員への訓示などの時は、それはそれはおっかない顔で、語られるんですよ。

わが社の社長が挨拶に立つとき、なぜか「クスッ」と笑いがもれているようですが、わたくしたち社員は笑えません。

ホントは社長がこわ~~~~い人だと知っているからです。

でも落成パーティーの時の挨拶は、ユーモアにとんだ素敵な挨拶だったとか。

社長!たまにはわたくしたちの前でも、笑顔でお話ししてくださいませんか?
もちろん険しい顔されなくていいように、もっともっとムチを振り回して働きますから・・・ねっ。