僕はますます高校野球が嫌いになった。

先日、藤崎台球場に母校の試合の応援に行った中立公正な立場であるテレビ局に勤めているため、母校の名前を明かすわけにはいかない。へんにバレると「あ、母校に肩入れした放送をしている」など、あらぬ疑いを抱かれても困るからだ。応援も応援席ではなく、放送室に隠れるようにしてやった。表向きは社員やアルバイトさんたちの激励訪問だが、社員なんてどうでもいい

放送室に顔を出すと、アルバイトの女性が「社長が応援にきたから、母校は負けますよ」とほざいた。この女性、「高校野球命」というぐらい猛烈なファンで、相当、詳しいらしい。前回、応援に行ったときも母校がピンチになるたびに「勝つわけありませんよ」とか「もうすぐ逆転されますよ」とか、僕の神経を逆なですることを平気でいう。あまり小憎らしいので、僕は「コニクラ嬢」と名付けてやった。念のために言っておくが「キャバクラ嬢」を連想したからではない。「コニクラ嬢」は毎週土曜日にKABで放送している「サタブラプラス」にも時々、出演している。

僕が球場に着いたときは4対0で勝っていた。この調子なら勝利間違いなしだ。つい、期待に胸が弾む。「コニクラ嬢」のいうことなんか、当たるものか。ところが次の回になったとたんに2点、3点と対戦チームが得点していくではないか。そのたびに「コニクラ嬢」が「ほら、ほら、ほら」と嬉しそうに声をあげる。僕はたまりかねて「君、お願いだから放送室から出て行ってくれないか」と「命令」した。ところが「あら、社長こそ仕事の邪魔だから、帰ってくれませんか」だって。社長の権威も地に落ちたものだ。

おまけにあっという間に、6点も入れられ、逆転されてしまった。思わず知らず「あーっ」とか「ちくしょう」とか、声がでる。なんと品のないこと。知性と教養に溢れた僕としたことが、なんということだろう。周りは次第に冷たい眼差しになっていく。「コニクラ嬢」も鼻先で笑っている。対戦チームはその後もさらに2点追加。このまま負けるのだろうか。そんなことはない。8回にチャンスが訪れる。しかし、1点止まりだ。

最終回。母校はさらに1点を取る。点差は2。長打が出れば同点か、あるいは逆転勝利か。「よーし、そこだ。行け」「あと1打。頑張れ」など、大声がでた。はっと気が付いたら、実況放送中。これはヤバイ。と思いつつも、自分が抑えられない。多分、来年からは放送室に出入り禁止になるかもしれない。それでも構うものか。だが、僕の応援も効果はなかった。今年の夏は3回戦で姿を消すことになった。

思い出してみたら、わが母校は在学中、ほとんど1,2回戦で負けていたなあ。当時は全校生徒が応援に行っていた。ヤケクソで応援していた高校生時代に、久しぶりに戻った感じだ。肩はガチガチにこる。喉はカラカラ。夜の自棄酒も美味くなかった。だから高校野球は嫌いだ。

もし母校が勝てば・・・。その時は「いやあ、高校野球はいいね」と言うに決まっている。来年はぜひ、そう言いたいものだ。「コニクラ嬢」に一泡吹かせてやりたい

コケボウのひとこと

残念でしたねぇ。
放送席でまで大声出して応援されてたのでしたら、きっと球児に届いていましたよ。
(もしかしてお茶の間の皆様にまで、聞こえてたらとんだ失礼を致しました。)
母校の試合って熱くなりますよね。
社長のことイマイチ非難できないのは、ワタシも同じようなことやってしまったからです。
母校の試合中、何かしら仕事をしていたのに間違いはないのですが、
試合が動く度に「よし!」「だめよダメ」を連呼し、
ヤマンガーちゃんからは「コケボウさん監督になってますよ」と指摘され、
全く仕事にならず・・・
ついにはサブ(副調整室)で仁王立ち
対戦校を応援していたアルバイトの面々が沸いたタイミングで
「中継に携わる者は中立の立場でいなきゃよ」なんて説教めいたコメントまで飛び出す始末。
母校の応援に熱くなる人達の気が知れない、と涼しい顔をしていたのですが、
野球部ができ、それも今年はシード校ともなれば、
仕事なんてやってられないくらい熱くなるものですね。
社長も今度は、知性と教養をかなぐり捨ててワタシの母校を応援してください。
一緒に球場に行きましょう。
野球もだけど、知性と教養が全く排除された社長の姿、見てみたいし(笑)