KABの社内に幽霊かお化けが出るという話がある。出るという場所は人によって様々だが、一番多いのは2階から3階にかけての階段。なんでも夜遅く、異様な気配を感じて、階段の上を見たら、兵士姿の男が居たとか、いや甚平姿だったとか、中には浦島太郎の姿だったとか。いまや階段は絶対に使わず、エレベーターに乗るという女性アナウンサーもいる。1階の男子トイレの奥の個室が危ないという社員もいる。

KABの社屋が建っている場所は元鉄道病院の敷地だった。病死した患者さんもいただろうから、ひょっとしたらその霊がさまよっているのかもしれない。ちなみに敷地の中には古井戸があり、社屋を建てる前にお祓いをして埋め立てたそうだ。その前は遊廓の中庭で、戦時中、遊女に惚れた特攻隊員が飛行機で突っ込んだという話もある。突っ込んだのは1機というのと2機という2説がある。この遊廓では身をはかなんだ遊女が自殺したかもしれない。

てなことを考えると、ひょっとしたら兵士姿は特攻隊員か、甚平姿は病死した患者か、浦島太郎は遊女姿を見間違えたのか。何となくKABの社屋の前歴と符牒が合うような気もする。とんでもないことだ。最新鋭の放送機材を揃え近代的な新築社屋に幽霊やお化けが出てたまるか。もっとも在熊の他のテレビ局では、やはり幽霊が出るということで、その場所に盛り塩をしてお祓いをしたという話もある。これは確認しなければ。

まずアナウンサーのテンボちゃんに聞いた。「怖いから階段は使わなーーい。私はお化けも幽霊も見ていませーーん。制作の人が見たそうでーーす」と、変なアクセントで答えた。製作部門に行くと、幽霊を見たのは、ヒゲが濃く「アフターファイブブラック」と呼ばれるプロデューサーということで、みんなが一致した。でもブラック君は「それは僕じゃありません。霊感の強い某カメラマンが何度も見たそうです」。そのカメラマンは「社外では時々、背筋がズーンとくるのを感じることがあるけど、社内ではありません」と否定した。残りの霊感があるという某女性ディレクターも社内では感じたことはない、と断言した。

何だ、誰も居ないじゃないか。と思っていたら、あるディレクターズカメラマンが、社長室に来て、確かに見たと「証言」した。彼の話によると、新社屋が完成して移転する前、社内で研修した後、深夜に階段を下りていて、ふと後ろを振り返ると、和服らしいものを着た人物がボーッと立っていた。彼は疲れが溜まりすぎると、時折、同じような経験をするそうだ。ひょっとしたら、その時も疲れすぎていたのかもしれない。念のためだが、移転後はないそうだ。

ともあれ、話に尾ひれがついて、どんどん広まっていったのは間違いない。まあ随分、以前の話だから、みなさん、怖がらずにKABに遊びにきてほしい。そう思っていたら「とんでもない」という社員が何人もいた。なんでも1階と2階のフロアーには痩せたのも太ったのも幽霊やお化けや化け物に似た社員が沢山いて、こちらの方が本物(?)の幽霊などより、よほど怖いそうだ。そういえば3階の社長室にもムチやバットを振り回し、咆哮するものが、時折、出現する。あれがそうなのか。

コケボウのひとこと

ゆ・う・れ・い?
話題としては、季節を先取りしすぎている感もありますが、出るだ出ないだって、ありますねぇ。
ワタシ自身は、幼児期まで遡っても、何かを見た記憶はありません。
もちろん社内にかかわらず、墓地であろうと夜中の病院であろうと、です。
本物の幽霊は、これからもワタシの前には現れないと思われるので、あんまり怖くはないのですが、この少数精鋭(?)で回している我が社においては「幽霊社員」なんてヤツがでてくることの方がよっぽど怖かったりします。
ただでさえ激務(ちょっと大袈裟)のワタシ達。
階段やフロアで見た!という幽霊は、もしかしたら激務で魂吸い取られたような顔をしていた制作部あたりの社員を、これまた激務でフラフラしていた報道記者あたりが見間違えた!位が真相かもしれません。
しかし、社長、何をおっしゃりたいのですぅ?
社長室にムチやバットを持って現れる社員が怖いとでも?
どうせそれってワタシのことでしょ。
ま、確かに突然現れたら怖いかもねぇ。
わかりました!今度から事前にアポをとらせていただき、素手でお邪魔することにいたします。