いま、我が報道部門の社員たちは、戦々恐々とした日々を過ごしている。今年入社してきた新入記者2人。なにせ何をやらかすか、見当もつかない。「KABの品格が疑われる」とか「このままでは報道部が二人に乗っ取られてしまう」とか、気が気でない。といいつつ、結構、二人の「異常行動」を楽しんでいる節も窺える。

ひとりは久保某。ニュース番組で何度もレポーターとして登場している。今のところ、問題は起こしてはいないが、喋り方が何となく、ささやくような雰囲気だ。と言うわけで、先輩たちは「ささやき翔太郎」と呼んでいる。ある日、自分が出演したビデオをうっとりした顔で眺めながら「しこっとるなー」と呟いた。肥後弁で「カッコウつけている」と言う意味だが、それ以来、「しこりの翔太郎」とも呼ばれている。

もちろん、仕事は熱心だが、ピンボケなところもある。先の統一地方選で、開票風景のレポーターを頼まれ、デスクから「6時には出て来い」と言われた。本人はちゃんと約束は守ったが、出社したのは午前6時。当然、社内には誰もいない。置いてけぼりをくらったと思い、呆然と立ち尽くしていたらしい。

もう一人は、沖縄のテレビ局から途中入社してきた野添某。周りからは「ヤセジのヒロマサ」と呼ばれている。別に痩せているからではない。風貌、行動が野生児を思わせるからだ。しばらく知人宅に居候していたが、最近、アパートを借りた。その直後の休日、鍵を失くした。家には入れない。明日は出勤日だが、着ていく背広も取れない。と言うわけで、背広を買いに行った。それに懲りて、合鍵をいくつか作ったらしい。ある日、「家にちょっと帰っていいですか」と言ってきた。洗濯機から水漏れして、階下が水浸しになったとか。

本人は「サケに弱い」と言っているが、どうも逆で、相当な酒好きだ。友人の結婚式の二次会では、焼酎の一升瓶を抱え込んで、がぶ飲み。したたかに酔っ払って、二次会が終わった後は、路上にしばらく正座していた。先輩が心配してタクシーを呼んだが、ヤセジは「帰る住所が分からない」とぼやいた。ある日の昼食時、やおらトウモロコシを取り出して、生のままボリボリ食べだした。何でも「沖縄のトウモロコシはナマが美味い」と自慢したとか。今日はタクシーに財布を忘れた。

とにかく二人のこぼれ話は尽きることがない。性格も全く違うのに、なぜか気が合うらしく、暇があるといつも一緒。当然、帰るときも毎日、二人連れ。年齢は違っても「同期のサクラ」というわけか。あるいは退社後はサケを飲みながら、お互いに慰めあっているのか。

念のために言っておくが、二人とも嫌われているわけではない。むしろ逆で、「久しぶりの大型新人」と、期待されている。周囲に笑いが絶えないということでは、正確には「大型お笑い芸人の卵」ということかもしれない。仕事を覚えるのもこれからだ。ともあれ、二人には順調に記者として育ってほしい。間違ってもコケボウやナゾセンのようには、なってほしくない。

コケボウのひとこと

ワタシがあんまり可愛がってあげる暇がないからかもしれないけど、最近の新人はあっという間に古参になじんで、誰が新人だかさっぱりわからなくなります。
フレッシュさがないと言えばないのですが、環境に慣れる早さが尋常じゃないのは、尊敬に値すると思います。
ワタシが入社した時なんて、おっかない鬼のような先輩ばかりで、ここに就職したのを心から悔やんだものでしたから。
でもその時の反動で新人いじめなんてしませんよ。
たとえ態度がでかくても、少々天然でも、自分がいる会社を選んで入社してきてくれたというだけで無条件に嬉しいものです。
いじめる訳がありません。
そういえば、たまにこのコラムで「コケボウにいじめられた」なんて社長に書かれていますが、下のものが偉い社長に物申すことは「いじめ」ではありませんのであしからず。
ついでに反論しておきます。
最後の「コケボウやナゾセンのようには、なってほしくない」という一文がひっかかりますが、特有の「裏返し」な表現と思って流しておきましょう。