高校野球は筋書きのないドラマといわれる。先日、その言葉通りの試合に出くわした。まさに高校野球の醍醐味という感じだ。藤崎台球場での準々決勝の八代東対矢部戦。9回表、矢部の攻撃。八代東が3点で矢部はゼロ。あっという間にツーアウトになり、走者はいない。勝負はついた。さて帰るか、と腰を浮かせたところからドラマは始まった

そこから矢部は安打の連発。四球もあって満塁に。打者は4番の山下選手。カウントは2-3。せめて1点ぐらいは返させてやりたいなあ。やはり無理かなあ。思いは千路に乱れる。その時、快音が響き、打球はレフトの奥に転がる。走者一掃の3塁打だ。なんと土壇場で同点に追いついた。高校野球はツーアウトから始まるというのは、やはり本当なのだ。事前に、誰がこんな筋書きを思いつくだろうか。

試合は振り出しに戻り、延長戦に。熱戦が続き、10回には両チームとも1点を入れる。ここまでくると、どちらにも負けてほしくない。そして14回。延長戦は15回までだから、あと1回、双方が頑張れば、再試合になる。そうなるとテレビ局は、番組の差し替え放送時間の遣り繰りなど大変な作業になる。でも構うものか。苦労するのは社員たちで、僕は知らん顔をしておけばいい。何とか再試合にならないものか。そんな思いもむなしく、14回に八代東がサヨナラ勝ちした。

それにしても矢部木下投手はすごかった。炎暑の中、1回から14回まで一人で投げ続け、その数は213球。およそ高校生とは思えない。日ごろの練習の積み上げがあればこそ、できたことだろう。部員はわずか18人。うちレギュラーの9人はみんな3年生で、出身中学も同じとか。少ない部員だけにチームワークもよかったのだろう。準々決勝で敗退したものの、話題も豊富で、その爽やかな試合振りは、恐らく僕の記憶の中で、生き続けるに違いない。

僕はもともと高校野球は嫌いだ。以前にもコラムに書いたことがあるが、駆け出し記者時代、高校野球を担当させられ、失敗の連続で、危うくクビになりかけた。そのトラウマがいまだに尾を引いているのだ。「嫌い」と言いつつも、球場に足を運べば、ついつい試合に見入ってしまう。それも負けているほうに感情移入して、応援してしまう。今回の八代東対矢部戦もそうだった。ひょっとしたら「嫌よ、嫌よも好きのうち」ということかなあ。

ところで、僕の母校は3回戦で姿を消した。それもノーヒット・ノーランというオマケ付きでだ。ちょうど東京出張に行った日で、応援にも行けなかった。正直いうと、どうせ勝ち残るから、準々決勝ぐらいから、応援に行けばいいと思っていたのだ。それが早々と敗退とは。僕は別に愛校心が強いわけではないが、やはり悔しかった。来年は、もっと頑張ってもらいたい。

それにしても今年の夏KABはやたらと忙しい。高校野球の前半は豪雨台風、おまけに衆院補選参院選も重なった。うちの社員たちはよく働くなあサボっているのはコケボウぐらいか。26日は準決勝、27日は決勝戦が行われる。KABで中継するから、ぜひ見てほしい。できれば球場に応援に行ってね。

コケボウのひとこと

ワタシも野球にはあんまり詳しくないけれど、高校野球で生まれる数々のドラマには、毎回感動させられます。
毎日の生活の中で「ひたむき」であり続ける姿勢を、とっくの昔にどこかに忘れてきてしまったワタシにとって、ただひたすらに頑張る高校生の姿は、凝視できないくらい神聖なものにさえ思えてきます。
社会人になると物事を、真っ先にプラスマイナスで考えがちですが、それでホントにいいの?とイタい質問を突きつけられている気にさえなってきます。
昨日の八代東VS矢部の試合からは「最後まであきらめない」と言うことを、今更ながら学んだ気がします。
この時期はワタシにとって最も忙しい季節のひとつですが、それぞれの試合が、何かを教えてくれるようで、初心に戻って頑張る気になる季節でもあります。
勝つところがあれば、負けるところが必ずあります。
しかし、無心に白球を追った夏は、結果がどうであれ生涯の財産になるでしょう。
準決勝を明日に控えた球児のみなさん、もうすぐそこに「てっぺん」が見えてきました。
ねらったてっぺんを勝ち得るために、体調を整えて頑張ってくださいね。
ん?社長、ワタシがさぼっているとでも??
社長と一緒にされちゃ困るなぁ。
心を清らかにして、エレガントにさばいているんですって!
わかんないかなぁ。