つい先日、身の毛もよだつような恐ろしい会合に出席した。あの時の恐怖は、いまだに尾を引いている。会合そのものは表向き、何と言うこともない。KABのある部署の集まりで、夏から秋にかけて激務が続き、そのお陰で視聴率も上昇、担当賞も出て、慰労会お祝いの会を兼ねたもの。もうひとつは寿退社する女性の送別会も兼ねていた。

何が恐ろしいかというと、参加者23人のうち女性が14人だったことだ。この部署には16人の女性がいるが、うちコワモテの2人が欠席したのが、せめてもの救いだった。とはいえ、このうち既婚者は2人だけで、残りは当り前だが未婚者。寿退社さんは、KABに来てわずか半年。前の会社で彼氏を見つけて、早々と結婚を決めたそうだ。

となると未婚者組の心中はいかばかりか。よくは分からないが、怒りと嫉妬と絶望と・・・どす黒いものが渦巻いているのではないか。断っておくが、これはあくまで僕の推測でしかない。この会合が無事、無傷で終わるとは到底、思えない。最初に担当賞の祝い事というわけで、あろうことかドンペリ2本の栓が開けられた。女性陣は「わあ、ドンペリって、シャンペンみたい」カマトトぶってか、本当に知らないのかわからないが、冒頭から盛り上がった。数秒後にはドンペリは空になった。

それをきっかけに、早々とがぶ飲みに走る女性もいた。女性陣は数組に分かれて、会場は喧騒の渦に巻き込まれた。男性陣はそれを横目で眺めながら、まるでお通夜の晩のように、ひっそりと呑んでいる。会話しようにも、自棄酒気味で痛飲している女性陣の罵声にかき消されて、よく聞こえない。名誉のために言っておくが、ウーロン茶だけという女性もいたのは事実だ。僕はウーロン茶の自棄呑みというのも初めてみた。

寿退社さんは、一番奥の席に押し込まれて、心細げにしている。僕はその後ろに座って、身を守ってやろうと、覚悟だけはしていた。案の定、がぶ飲み女性が押しかけてきた。やたら「呑め、呑め」と迫っている。ひょっとしたら悪酔いさせようと、狙っているのではないか。花束と祝いの品が寿退社さんに贈られたが、拍手はまばらにしか聞こえなかった。「今が一番、幸せです」という挨拶には、どこからか「それがなによ」とか「今だけだよ」とか、小声の野次も飛んだ。

僕が後ろに座っていたせいか、それ以上の騒ぎにはならなかった。とはいえ、いつ刃傷沙汰になるのか、僕の恐怖心は閉会まで続いた。女性は一人でも怖い。それが14人もいる。しかも嫉妬に狂ったかどうかわからない未婚組がゴロゴロ。気がつくと、背筋に脂汗が流れ、ワインの酔いもたちまち覚めていた。閉会と同時に、僕は外に出た。疲れがどっと出た。翌日、聞くと、表向きは平穏に終了したらしい。よかった、よかった。

断っておくが、僕は結婚が全てとは思わない。仕事に打ち込んでいれば、婚期が遅くなることはよくあることだ。ちなみにKABの未婚陣は魅力的な女性が揃っている。要は女性を見る眼がない男性が意外と少ないということではないか。焦ることも、失望することもない。あのコケボウでさえ既婚ではないか。もっと自信を持って仕事に打ち込もうではないか。

コケボウのひとこと

コトブキタイシャ・・・久しぶりに聞いた単語のような。
ほぼ我が社では死語になりつつある言葉です。
別にもてない女性がうじゃうじゃいる訳ではなく、あの口の悪い社長も認めるくらい魅力的な女性ばかり。
会社が馬車馬並みに働かせるから、いろんなお誘いを跳ね除けて人生をKABに捧げてきただけのお話です。
だからって結婚している私が働いてないという話ではないのであしからず。
先日はみんな心からの祝福を贈りすぎて、若干飲むペースが速かったようですが、あれだけ飲んだにも拘らず誰も乱れず、ついでに言うと翌日も昨日の出来事が幻か?と思えるほど「きちんと」出社してきた我が社の女性社員達。
ただもんではありません。
本日疲れた顔をしているのは、社長をはじめおとなしく飲んでいた男性陣。
量も女性陣の半分くらいしか飲んでなかったと思うけど。
結婚は「墓場」なんて不謹慎なことを言う人がいるけど、15年間結婚生活を送ってきた実感として、決してそんなことはなく「バラ色」とまでは言いませんが、日々の生活が織り成す色は美しい色であることに間違いはない!と断言できます。
寿退社さん、本当に結婚おめでとう!「結婚っていいものよ♪」というメッセージをはなむけの言葉にしたいと思います。
こんなに何にもできないワタシが楽しい結婚生活を送っているのだから、多少の不安があったとしても大丈夫よっ♪
あー、こんなことを言うと社長曰くの「怒りと嫉妬と絶望と」がこっちに向けられるかしら~。
こわっ。