最近のニュースから。賞味期限切れの食品を偽装販売していた船場吉兆会社更生法の適用を受け、再出発することになったそうだ。吉兆といえば有数の高級料亭。まさかという不祥事だ。恐らく創始者は草葉の陰で泣いていることだろう。

どういう訳か、僕は東京に居るとき、何度か築地吉兆にお世話になったことがある。もちろん安月給の身、身銭を切って行けるような店ではない。年に数回、大事なお客さんを会社として接待する際、末席に鎮座しただけだ。会社と店が近所ということで、大晦日には年越しソバ100人分と豪勢なおせち料理が届けられた。お金を払ったという話は聞いていないので、店のサービスだったのだろう。

一度、この店で人間国宝の陶芸家に御馳走になったことがある。10数人の集まりで、芸者が一人一人につき、キンキラキンの料理最高級の食器に盛られていた。味は残念ながら、よく覚えていない。もったいないことをしたものだ。貧乏人としては、やたらと値段が気になる。恥を忍んで女将にこっそり聞いた。

いったい支払いは幾らぐらいとお思いか。女将がいうには「まあ、300万ぐらいでしょう」と、こともなげに言う。僕は仰天した。さらに女将は付け加えた。「いいのよ。お店で、陶芸家の先生の壷を350万で買ったのだから」だって。ギョェッ。信じられない。庶民の感覚とは全くかけ離れた世界が存在することを、初めて体感した。

その吉兆が低落したのだ。やっていることのみみっちいこと。船場と築地の違いはあるかもしれないが、吉兆の看板に傷が付いた。にわかには信じられなかった。時代が代わったということか。

ところで僕には賞味期限ということが、どうしても理解できない。お店で決めた賞味期限が切れた食品を偽装販売することは、やはり許されることではない。しかし、その賞味期限なるものに、どれだけの科学的根拠があるのか。僕の少年時代は、腐敗臭がするとか、味がおかしいもの以外は何でも食べた。今も一週間や一ヶ月そこいら賞味期限が過ぎていても、違和感なく食べている。それでお腹を壊したこともない。冷蔵庫の中には、いつも賞味期限切れの食品がいくつもある。弟たちが時々、冷蔵庫を点検して、期限切れの食べ物を捨てている。弟たちが帰った後、一部はまた冷蔵庫に戻す

僕が鈍感すぎるのか、マスコミや世間が過敏すぎるのか。いったい「もったいない」という感覚は何処へいったのか。世界には食べ物がなく、餓死する人が沢山いる。日本は「平和ボケ」しているのではないか。つい、そんなことさえ考えてしまう。やはり僕は変人なのだろうか。

コケボウに聞いてみた。賞味期限の切れた食べ物はまず御主人のコケボンパパに食べさせる。異常があるかどうか、しばらく様子を見る。どうもなさそうだったら、自分でも食べる。しかし、息子のコケボンには絶対に食べさせないそうだ。これは基準にならない。江戸時代の大名ではあるまいし、コケボンパパがお毒見役とは。鈍感なくせに、自分と息子の「健康」を守るのは、まあまあ、神経質ということか。

コケボウのひとこと

これまで食品に印字された賞味期限やら消費期限やらを「絶対」としてきましたが、その絶対が根こそぎ崩れてしまった、賞味期限の偽装問題
口にして直ちにどうこうなるものではないかもしれませんが、決して許されることではありません
名の通った高級店であればあるほど、消費者はたとえ少々高くともその一流に対する信頼度で購入しますし、それ故裏切られた時のショックも大きいというものです。
しかしながら時間が少し過ぎると、廃棄されていくハンバーガーやコンビニのお弁当を目の当たりにすると、社長のように物の無い時代を生きてなくとも複雑な気分になるのもこれまた事実です。
では家庭内ではどうかというと、一般的に食事を用意するのは一家の主婦で、家族というのはそこに全幅の信頼を寄せ、テーブルに並べられたものを口にしています(多分)
家庭の料理は、主婦の責任で少々賞味期限が切れたものを食べさせたところで、よそ様に迷惑がかかるわけではありません。
こんなことで社長と話が合うのは非常に不本意ですが、何を隠そう我が家の冷蔵庫にも期限切れの食材はちゃんと(?)入っています。
夫に積極的に期限切れを食べさせるのではなく、家族のために一生懸命働いて食べさせてくれているのですから、そのお金で買った大事な大事な食材を、一つだって無駄にしたくないという私なりの思いやりです。
しかも期限切れのおかずがラインナップに加わることにより、コケボンのおかずよりたくさんの品数を夫に提供することが出来るのですから、父親の権威も保てるってもんです。
ついでに書き加えておきますが、少々古くなったものを食べても夫がお腹を壊したという話は聞いたことがありません
しかしこれ、あくまで家庭内でのお話ですから、食を提供するお仕事をされているみなさん、くれぐれもご承知おきくださいね。
記者会見での口ぱくで息子に指示する様子が「腹話術」のようだったと「腹話術女将」なんてワイドショーが騒ぎ立てた、吉兆の新社長、ワタシもそんな高級店で接待される身になりたいので、その時までにはお願いしますよっ。