僕にとって最も縁遠いもののひとつに「ファッション」がある。なにせ、御幼少のころから「男は着るもんでゴチャゴチャいうな」という、偏屈な教育を受けてきた。年頃になってからは、多少でもオシャレに気を遣おうものなら「オナゴのきゃあ腐れ」と苛められたものだ。その僕が、ファッションショーに行く羽目になった。

ある日、手帳を見ていたら、「日曜日、午後2時に某デパート」と日程が入っていた。何のことやら、さっぱり見当もつかない。多分、会社関係のイベントか取材だと思う。ということで報道制作、営業、販売促進と関係方面の社員に聞いて回った。が、みんな「さあ、何のことでしょう」とつれない。某デパートにも聞いたが、「別にマスコミの方との予定はありません」。

途方に暮れていたら、先週、ある先生から「今度の日曜日は来るんでしょうね」と電話が入った。ある先生とは新年パーティーで顔を合わせて、話し込んだことを思い出した。でも、ワインを飲みすぎたせいか、何の約束をしたのかは、サッパリ記憶にない。かといって「何でしたかね」と聞き返すわけもいかない。とにかく、確認するフリをして、「七階ホール」と場所だけは聞き出せた。約束は約束だ。なんのことやらわからないけど、出かけることにした。

ホールに着くと、やたらと女性が多い。看板をみて驚いた。「熊本市立必由館高校 服飾デザインコース発表会」とある。なんと高校生のファッションショーだったのだ。来賓席に座らせられたが、居心地の悪いこと。なんとも場違いな雰囲気だ。何でも手作りの衣装で、企画、運営、アナウンスから司会まで、みんな生徒たちだけで取り組むという。会場は満席で、立ち見の生徒や父母もたくさんいる。こうなれば何とか口実を作って、早めに退席することにしよう。

ところが、始まってみて驚いた。なんとも楽しいショーなのだ。衣装の巧拙、美醜、出来映えについては論評できる立場にないが、みんな個性的で美しく見える。1,2年生はさすがにガキンチョっぽくても、それなりに可愛らしい。ところが3年生ともなると、成人モデルも顔負けするほど、堂々として見える。たまには慣れないハイヒールが覚束なく見えたり、笑顔に幼さが漂うが、それも愛嬌。ライトアップのせいか、美人そろいのようにも見える。軽快な音楽に合わせて行進する様子はテンポよく、見飽きることがない。

とにかく、2時間があっという間に過ぎてしまった。僕は、別に若い女子高生にうつつを抜かしたわけではない。絶対に「エロジジイ」なんて、蔑みの眼で見ないでほしい。「最近の高校生は」と、いろいろ批判されることも多いが、なかなかどうして、捨てたものではない。そのことにも感動させられたのだ。多分に普通の高校生はみんな、こうなんだろう。そんな気がしてきた。

さて、翌日、出社して、女性社員を改めて眺めてみた。うーん、これは論評すべきではない。いや、してはならない。なにを言っても、敵を作るだけだ。まあ、コケボウはじめ、みんなそれなりに落ち着いて見えるネエ。

コケボウのひとこと

このコラム、毎回社長からメールで送られてくるのですが、社長なりにタイトルをつけて送ってくれます。
きょうのコラムについていたタイトルは「ファッション」。
春にはまだ遠いし、急に色気づく(失礼)なんて何事かと思えば、ショーの観覧のお話で、ちょっとホッとしました。
それを専門に学んでいるとはいえ、この歳になっても(歳はあんまり関係ないか)雑巾ひとつ満足に縫えないワタクシからすると、身に纏うことが出来る服を作るなんて神業としか思えず、ひたすら尊敬するのみです。
おそらく社長なんて、針に糸を通すことさえできないでしょうから、細い目を真ん丸くし口をあんぐりしてショーを見ている社長を想像してちょっと笑いました。
社長、今度はご一緒させてくださいね。
しかし、最後の部分我が社の女性が「それなりに落ち着いてみえる」っていったいどういう意味でしょう?
ピチピチ感がないってこと!?
お裁縫では負けても、他じゃまだまだ女子高生には負けませんよぉ!