コケボウニコニコしながらやって来た。こういう時が一番、危ない「いよいよ出番です」ときた。最近は会合やイベントに引きずり出され、出番続きだ。なにをいまさら。と思っていたら、僕が出演するCMが最近ほとんどないので、「そろそろ新作を」という。

そうか。これまでのCMはケービィーの脇役が多かったが、今回は主役で出てくれということか。僕はにっこりしたい気持ちを隠して、渋面「考えてもいいなあ」と答えた。考えるまでもないことだが、僕にも社長としての体面がある。ともあれ、これで僕のCM出演は決まった。

数日後、またコケボウが笑みを浮かべながら現れた。「今回のCMはこういう内容で行きます」。なんとその内容を聞いて、僕は仰天した。主役はKABのアナウンサー。僕の出番は最後の1秒2秒。なんとアナウンサーを売り出すための引き立て役であり、単なる端役ではないか。しかもお笑い芸能人並みか、最近流行のアホ芸能人の扱い。脇役からさらに左遷されたようなものだ。

僕はムッとした。何か口実を作って断らないと。で「いやあ、株主総会まで日程がびっしり詰まっていて、とても出演できないなあ」と断った。途端にコケボウの目玉がギョロリと光った。「何を言ってるの。社長は社員のために働くのが仕事でしょう。引き立て役でもCMに出られるのだから、感謝してください」だって。僕の社長としてのプライドなんて考慮の対象にもなっていないのだ。

そういうわけで、先日、撮影が行われた。わずか数秒の出演なのに、まずメイク。可愛らしい女性なら我慢もするが、これが男性。顔面に白粉みたいなものを塗りたくられ、「あ、後ろ髪がグチャグチャだ」とか言われて、ジョキジョキ切られた。撮影では、アナウンサーが自分の生い立ち、思い出、抱負などをにこやかに、気持ちよさそうに喋り捲る。何度もリハーサルや本番の取り直し。ああ、気分いいだろうな。

散々、待たされた挙句、いよいよ僕の出番だ。端役でも演技力のあるところを見せなくっちゃ。「ボクは回り道より、寄り道が好きでね・・・」セリフを言いかけたら、「はい、カット」。それでおしまい。「いやあ、名演技でした。これで終了」と嫌見たらしいお世辞を言われて、チョン。

次のアナウンサーのときはもっとひどかった。女性アナウンサーの後姿を、木陰からニッタラーと覗き見するストーカー役。もうひとつ別のバージョンでは、これもアナウンサーの後ろを、オペラ歌手のマネをしながら「あぁあぁあぁあぁ」と叫びながら通り過ぎるだけ。翌日、取締役会だったのに、時間の合間を縫って、別のアナウンサーと撮影。これもひどかった。アナウンサーの横に立って、あっちこっちのポケットを探って、携帯電話を探すだけ。最後の撮影では、セリフを言おうとしたら、スタッフに止められて、呆然と立ち尽くすという役だった。

今回は第1陣で、しばらくして第2陣の撮影もやるとか。何とかして放映だけは食い止めなくっちゃ。不幸にして放映された時には、絶対に見ないでほしい。

コケボウのひとこと

アナウンサーのCM「Look」のシリーズ、今回は満を持して(?)社長も出演
といってもブツブツ言われても仕方がない、ほとんどちょっと目立つエキストラと言ったところ。
1テイク撮影するたびGI監督から厳しい注文が出されたアナウンサー陣は「社長は6パターンも出てくるから上手にもなるでしょうけどねぇ・・・」と演技を褒められた社長にブツブツ。
スタッフも既に社長のCMを何パターンも作ってくれているので、最初はあった「社長」への緊張遠慮も徐々になくなり、現場は和気あいあいの雰囲気のもと進んでいきました。
実はこの原稿も撮影の合間に書いております。
分刻みのスケジュールなので、「社長、原稿は明日いただければ大丈夫です」とサスガのワタシも申し上げましたら「当たり前じゃないか!いつ書く時間があるか」と言われてしまいました。
しかしその直後机の電話がなり「社長室」の表示。
恐る恐る出てみましたら「欲しいならあげるよっ原稿」
まったくもぉ(怒)
出来てるなら欲しいに決まってるじゃない!
でもいつ書いてくださったのかしら??
よくよく聞いてみましたら、早朝出勤して書いてくれたそう。
すごく感謝しているのに「社長くらいの方は朝はお得意なんですよね」余計なひと言を発してしまい「はぁ?(怒)」とにらまれてしまいました。
しょぼん。
約束事は守ってくれる社長♪大好き♪
エキストラ(?)も原稿もこれからもよろしくお願いします。