アユを食べたーい。それも養殖モノではない、球磨川の天然アユだ。という訳で、人吉に出掛けた。誤解ないように言っておくが、わざわざアユのためだけで行ったのではない。そんなゆとり(時間的にも金銭的にも)はない。人吉市内の川上球場で、中学生の硬式野球選手権大会が開かれ、開会式での挨拶を頼まれた。この機会を逃してはならずと飛びついたあくまでも主目的は野球大会なのだ。

昨年も、同じような計画をたくらんだが、身内に不幸があったために、寸前に断念した。いわば二年がかりの悲願なのだ。身内だけの食事だと、単なる「遊び」になる。そんなゼイタクは許されない。営業に頼まれて、人吉在住の重要なスポンサーの御夫妻をお招きしての会食となった。だかられっきとした仕事がらみである。お客様は高校の同級生でもある。えっ「それは公私混同だ」だって。要らぬお世話だ。

場所は球磨川の支流のほとりにある「二代目」という店。最初に背ごしが出た。小さめのアユを薄く、ぶつ切りにしたものだ。背骨のコリコリとした食感がたまらない。次が大きめのアユの刺身。生臭さは全くなく、口中にえもいわれぬ、ほのかな香りと甘さが広がる。圧巻塩焼き。三十センチ以上もある超大型のアユだ。頭の方から背骨をスーツと引き抜く。養殖モノだと、大体は途中で千切れてしまうが、天然モノはさすがに違う。

絶品だったのは「アユ焼酎」ヤマメの骨酒というのがある。ヤマメを一匹、塩焼きにして熱燗の酒に浸して、呑み、かつ食べる。そのアユと焼酎版と思っていただければいい。最初はちょっと生臭い感じだったが、焼酎が冷えてくるに連れて、旨みがとろけ出してくる。ついでに心地よい酔いが体内を駆け巡る。ボクは2杯も呑んで、顰蹙(ひんしゅく)を買った。ひとつ、ひとつ書いていくとキリがない。アユ料理は8品も出た。あとは煮物、酢の物、温麺、てんぷらと続く。アユ料理といえば、背ごしに塩焼きに甘露煮ぐらいしか思い浮かばなかっただけに、驚きの連続でもあった。

アユは川魚の王様だ。コケを餌にしているから、内臓も頭もしゃぶり尽くすことができる。ボクは全てのアユを骨格標本にしてしまった。いわゆるネコマタギというやつだ。ボクの食べたあとは、ネコも食べるところがないので、またいで行くという意味だ。ボクはアユを堪能した。「余は満足である」と言いたいほどだ。オマケに値段はリーズナブル。熊本市内では考えられないほど。ひょっとしたらお客様の配慮があったのではと思いたくなるほどだった。

念のために言っておくが、あの店に突然、行ったとしても、同じ料理を味わうことができるかどうか。多分、そんなにアユを揃えることはできないだろう。早めに予約していたから、味わえたのかもしれない。

皆さんはさぞかし「羨ましい」と、感じられるだろう。大いに羨ましく思うがいい。今回のコラムは羨ましがらせることだけを目的に書いた。ひとを羨ましがらせることには、無上の喜びが伴う。いやあ、いい気持ちだ。えっ、「屈折したヤツだ」って。何と言われても結構だ。イッヒッヒ・・・。来年も、会社をサボってでも行こう。

コケボウのひとこと

アユ・・・ですか。
わざわざご接待をセッティングしてまで、わざわざ人吉まで出かけて行ってまで、わざわざ会社をサボってまで・・・アユ。
ん~~んっっっ、よくわかんない。
例のごとく「質問は?」と聞かれたので「アユってそんなにおいしいんでしたっけ?」と尋ねましたら社長が答えてくれる前に、我が編成業務局の一番新しいメンバーである局長「おいしいものを食べたことがないんだ、かわいそうに」とひとこと。
そんなこともないと思うけどぉ・・・
どうせ会社をサボって出かけるなら、イタリアンかおフランス料理のほうがいいってもの。
食の好みは年齢と共に変化するというのはよく言われていますね。
やはり年齢が上がるとさっぱりしたものの方を好むのが一般的のようです
が、社長のアユ好きもその類の話なのでしょうか。
アユがまずい、とか嫌いとかって言ってるわけではないのですが、骨が怖くてフィレオフィッシュも食べられない身としては、どうもそそられない。
社長とワタシの間には随分と年齢差もあることだし、食の話が合わないのはある意味当然ですね。
ワタシも60でも過ぎたら、人吉までの距離を物ともせずアユを食しに出かけて行くのかな。
さんざん「おこちゃま口」やら「貧乏口」やらと言われるワタクシ。
ナポリタンをちゅるちゅる食べて幸せを感じる60歳になる公算の方が大きいな(笑)