「キレる」という言葉がある。怒りなどの感情を理性で抑えきれず、他人にその感情をぶつけることをいう。単なる八つ当たりではなく、傷害殺人などの事件に発展することも多い。最近では日常茶飯事のように起きている。社会生活のテンポが速く、心身にストレスが溜まり、「キレる」状況が増えてきたせいだろう。もちろん、子どもの頃の教育のあり方にも責任はあろう。今後も増えることはあっても、減ることはなかろう。

ひと昔前は、青少年に多い現象だったが、最近はいい年をした大人にまで蔓延してきた。もともとは堪忍袋の緒が切れることからきたという説がある。怒りなどでこめかみの青筋(血管)が切れるということからでたという説もある。どちらが本当か、あるいは両説との正しいのかは知らない。ボクもコケボウら社員にこき使われて、ストレスが溜まる一方だが、まだ理性があるから「キレる」ことはない(はずだ)。

先日、福田康夫首相首相辞任表明のニュースを見ていた。訳もなく「キレる」という言葉が浮かんできた。一国の首相に「キレる」というのは失礼だが、あの会見の内容は、まさに「キレた」という感じだ。ねじれ国会で重要法案の行方は見通しもつかない。臨時国会の召集時期もままならず、経済政策もうまくいくかどうかも不明だ。支持率も低迷し、言って見れば八方塞り。怒りもあろうし、諦めもあろうし、失望もあろうし、さまざまな感情が入り混じり、ほとばしる辞任の思いを理性では抑え切れなかったのだろう。

それにしても安倍前首相といい福田首相といい、責任放棄といわれても仕方あるまい。国民に与えた政治への失望感には計り知れないものがある。政治の権威失墜だ。福田首相を選び、支えきれなかった自民党に政権担当能力があるのか、という声も出てこよう。物価高騰や景気後退に不安を抱く国民は置き去りにされた形だ。

ボクも若い頃、政治記者としていくつか政権交代を見てきたが、こんなに無責任な退陣はそうざらにあるものではない。福田首相の父、福田赳夫氏は総裁選で大平正芳氏に破れ、首相の座を退く。その際、「天の声にも変な声がある」と、有名な言葉を残した。その赳夫氏が生きていたら、康夫首相の辞任表明をどう見ただろうか。恐らく「私の息子にも変な息子がいる」ぐらいのことは言ったかもしれない。

赳夫氏の2代後の鈴木善幸氏の退陣もちょうど秋口だった。その夏、夏休みで箱根のホテルで静養していた鈴木氏を尋ねた。雑談しているうち、鈴木氏は「秋の総裁選で、対抗馬が出たら、私は辞任する」と呟いた。ボクは唖然とした。社内でいろいろ検討したが、「まさか辞任することはあるまい」というのが結論だった。しかし、中曽根康弘氏が総裁選に立候補するやいなや、鈴木氏は首相を辞任した。鈴木氏の娘婿が康夫氏の後任の最有力候補といわれている麻生太郎幹事長である。

ついついカビの生えたような古い話を持ち出して恐縮だ。それにしてもトップの座に居る人達の出処進退は大変だ。ボクも零細テレビ局とはいえ、一応、「雇われトップ」だから、出処進退を考えないといけない。ナゾセンからは折りに触れ「そろそろ私に禅譲したら」と迫られている。いずれにしろ無様な辞め方にならないようにしよう。

コケボウのひとこと

今回の原稿、社長が昔政治記者だったという噂は、もしかしたら本当かも!と思うような原稿ですね。
ビックリしましたね、突然の辞任
あの日、TVタックルにチャンネルをあわせ、家路につく車の中で「福田総理辞意を~~」と聞こえてきたような気がしたものの、あの番組は政治ネタを扱っているのだからてっきり将来的な仮定の話だと思いましたら・・・えぇぇぇ~っ!?ホントの話!?
組閣の特番を放送するのにバタバタ夜中まで働いたのいつだっけ?
確かひと月前だったよね。
辞任がホントの話だと理解するまでに疲れたアタマでは数分かかり、次いで何でぇ?と[?]マークがヒラヒラと。
すぐに会見が始まるというので、到着した自宅のリビングでしっかりテレビをつけ、一言一句気合いを入れて聞いておりましたが、終了後にアタマの中の[?]マークは消えるどころか増えるばかり。
今日は懐かしい歴代首相の名前がたくさん出てきましたが、幼かったにも拘らず当時の首相たちの話のほうがよっぽどわかりやすかったし、総理総裁という立場に執着してた気もするしその分政治生命かけてた気もします。
途中で放り投げるほど一国の首相というポジションは軽いものなのでしょうか。
そうでなく重たいものだとしたら、その重圧に耐える力さえない人を首相にしてしまった責任の所在はいったいどこにあるのでしょうか。
政治の世界の難しいことはよくわかりませんが、どんな世界の人でもトップに立つ人には何かを成し遂げるために命をかける位の気概をもってほしいな、と思います。
我が社の場合・・・トップにどれくらいの重圧があるのか、なったことないからわからないけど、社長にそんなにストレスがたまっている風には見受けられないし、舵取りを放り投げられて沈没することは今のところないと信じたい。
大丈夫ですよね?社長っ?