県政の重要課題だった川辺川ダム建設問題で、蒲島知事が11日に結論を出す。着工か、断念か。県民の関心も高い。政治的問題だから、はっきりはいいにくいが、ボク個人としては建設反対だ。その理由はいくつもある。

先日、熊本市内の小料理屋で、川辺川で捕れたという天然アユを食べた。尺近くもあり、中骨がスーツと抜ける。香魚と呼ばれるにふさわしく、いい香りと芳しい味が口中に広がる。養殖アユではとても味わえない。ダムができると、こうしたアユはどうなるのだろう。いくら魚道などの対策を取ったとしても、影響は免れないだろう。

以前、川辺川のダム建設予定地を見に行ったことがある。日本一ともいわれる清流は、底まで澄み切っている。まさに山紫水明の世界だ。観光資源としても大きな可能性を秘めている。子々孫々に伝えるべき貴重な資源でもある。その全てが水没するのだ。

佐賀県に建設中の嘉瀬川ダムに行った。巨大なダムの堰堤の底部が工事中だった。高さ97メートル、長さ480メートルだそうだ。川辺川ダムより若干、小さめだが、その規模の大きさには驚かされる。山肌のいたるところが削られ、土砂がむき出しになっている。見ていると、痛々しいというか、悲しくなる。ダム建設で地元の土建業界は潤っているのかと聞くと、全く関係ないそうだ。

川辺川ダムの歴史をたどると、その必要性に首を傾げざるをえない。話の起こりは治水、利水、発電を目的とした多目的ダムだった。それが利水と発電が消え、治水だけになった。その治水も80年に一度の大雨に備えてといっていたのが、ごく最近は2,30年に一度に変わってきた。ダム本体も穴あきダムに変わってきた。近頃はゲリラ豪雨とかで局地的に豪雨になり、都市部で洪水が起きる。山間部のダムでこうした洪水が防げるとも思えない。

国土交通省の、何が何でもダムを作るという思惑がミエミエではないか。諫早湾干拓事業では、農水省が堤防の開門調査を拒否している。どちらのケースも、官僚が当初の計画を貫徹しようとする姿勢が強い。あるいは官僚たちの面子がかかっているのか。そんな不信感を抱かざるを得ない。

まだある。赤字財政の熊本県工事費の負担に耐えうるのか。職員の人件費まで削減するという緊急事態だ。職員にしてみれば、自分たちの給料を減らしてダム建設費に充てるのかという不満も出てこよう。さらにダムが完成したあとも、何億円という運転資金が必要になる。県財政はさらに圧迫される。

それでも蒲島知事はダム建設にゴーサインを出すだろうか。有識者会議の結論は、ダム建設に傾斜しているように受け取れる。一方で人吉市長らが反対を表明している。県民にも流域住民にも、それぞれ賛否両論がある。こうした中で判断を迫られている知事の重圧はいかばかりか。どういう判断を下したとしても、知事には批判の矢が向けられるのも眼に見えている。

重ねて言うが、私個人としては、知事にダム断念の英断を下していただきたい。

コケボウのひとこと

政治的なことはよくわかりませんが、ダム建設という一大事業を成し遂げるには、いろんな思惑があるのだろうな、位の事はわかります。
でも清流が日本一だろうが、それが貴重な観光資源になり得ようが、自分の利益にならないとなると、なんとか理屈をつけてダムを造ろうとする・・・そんな人々が存在するとは思いたくない
純粋にダムが必要なのか否なのか、この一点だけをシンプルに考えていただくとおのずと答えは決まっているような気もします。
面子や利権だけにとらわれない決断は、口で言うほど簡単なものじゃないのかもしれないけれど。
明日知事が下す結論には、大きな注目が集まること必至で、報道機関としてKABもこの問題を迅速にお伝えできるよう努める次第です。