骨折したS姉さん緊急速報。というほどでもない。コケボウの隣席にS姉さんがいる。名前の由来はスケベのSとか、サド趣味のSとか、下ネタのSとか言われるが、真相は知らない。そのS姉さんが最近、つまづいて足首を骨折した。コケボウは、骨の量が減って骨がもろくなる「骨粗しょう症」のせいではないかと言う。それはひどい。そこつにも、つまづいて骨折したのだから、ボクは「骨粗忽(そこつ)症」だと思う。

S姉さんは、少し落ち込んでいるようだ。気がやさしいボクは、慰めてやることにした。それには詩人で書家で有名な相田みつをの作品を見せるのが一番だ。ボクが選んだのは「つまづいたって いいじゃないか にんげんだもの」という作品。「S姉さん、よかったね。人間ということが分かっただけでも、いいじゃない」と励ましてあげた。S姉さんは感動のあまり、口をあんぐりと開けたままだった。かなり力づけられたに違いない。

相田みつをその相田みつを全貌展が4月12日まで、県立美術館分館で開かれている。KABの開局20周年記念の 第1弾のイベントだ。初期から絶筆の作品まで101点が展示されている。最近、発見されたものや、初公開の作品も、たくさん含まれている。相田みつをと 言っても馴染みのない人がいるかもしれない。でも作品を見れば、「ああ、あの人か」と気がつくはずだ。県内にも熱烈なファンが多い。

作品はちょっと見ると、稚拙なようにも見える。ところが写経などを見ると、淡麗な筆致で、そのまま活字にもなるほどだ。これだけでも素晴らしい書家だったことがわかる。それを稚拙にも見える作品に仕立てるのがすごい。見る人の感情に訴え、感動と感激を与えるように計算しつくされているような気もする。

それだけではない。ご子息で、相田みつを美術館長の相田一人さんの話を聞いて、仰天した。まず、何日も何十日もかけて、詩を書く。時には何か月もかかる。その詩の真髄といえる短い文章を選んで、書にする。満足する作品に仕上がるまで、何百枚でも書き続ける。書き損じた紙は山ほどになり、その紙で風呂を沸かしていたほどだという。作品を見て、それほどの影の努力の積み重ねがあったとは、だれも気がつかないだろう。

見る人に感動、感激を与える由縁が、少しは分ったような気がした。作品は哲学的であり、宗教的であり、生命への愛情が溢れている。かといって押しつけがましくもない。見る人の立場、感情に応じて、いろいろ解釈できる余地も残している。それも下敷きとなる詩が素晴らしいからだ。若いころ、画家志望だっただけに、作品には絵画的要素もある。いや、それだけではない。書の分野を超越し、絵画の世界を凌駕していると言ってもいいだろう。

とにかく、骨折した人も、失恋した人も、得意の絶頂にある人も、ぜひ相田みつを全貌展を見に行ってほしい。今後の人生にずいぶんと役に立つはずだ。ついでにもうひとつ。今月28,29日に、グランメッセで、KAB主催のフリーマーケットが開かれる。もうすっかり馴染になった人も多いはずだ。安くて気に入る掘り出し物も沢山、ある。こちらの方にも、ぜひ足を運んでほしい。

コケボウのひとこと

言葉をそれだけ推敲される相田みつをさんは、この詩が実際にすっころんだ人の励ましになると思われていたでしょうか。
S姉さん、そのキャラクターで、骨折という大怪我でさえ笑いに変えて、周りの爆笑を誘っています
通勤途中で段差につまづいたらしいのですが、その現場を良く知る人はみな「あんなとこで?」と首をかしげるばかり。
怪我をするようなところでは全くないところで大怪我を負ったというのですから、一寸先は闇・・・明日はわが身・・・他人事と笑ってばかりもいられません。
何の連鎖か、報道局長も見事な転び方をしたそうで、両膝両肩に絆創膏、手の指は紫に変色、という怪我を負っています。
それを聞きつけたS姉さん「絶対に局長も骨折ですって!」と息巻いていますが、昨日よりは腫れも引いているようで、局長のほうがそれでもどうやら軽症のようです。
局長よりずいぶん若いS姉さん、同じように転んだのに自分だけが骨折という重症を負ったのが納得いかないのでしょうが現実です。
ま、しばらくはみんなでS姉さんの手足となって助けて差し上げましょう。
「つまづいたっていいじゃない。にんげんだもの」この作品S姉さんに一番に見せたい気がしますが、この足じゃなかなか難しいかもしれませんね。
心にしみる相田みつをの世界、みなさんは存分にご堪能ください。