今年も新入社員が入社して一か月が過ぎた。古びてシワのできた社員に比べると、いかにも初々しい。今年は3人が入社したが、うち一人は数年前から、すでに制作の現場で働いていたので、実質的には二人だ。入社後一か月を過ぎるころから、新しい環境でストレスが溜まり、精神的に不安定になりがちだ。いわゆる5月病と言われるが、今年の二人は、その心配はなさそうだ。

一人は女性で、報道部門に配属された。サツ回りで、こき使われている。ある日、将棋名人戦の取材を命ぜられ、部屋を飛び出していったが、数分後、戻って来た。「あのう、どこでやっているのですか」。場所を聞いた彼女は再度、飛び出していったが、また戻ってきて「取材って、何をすればいいのですか」だって。心配になったデスクが「君は将棋を知っているの」と聞いたら、「知りませんが、オセロは知っています」

別の日には、やはり取材に行って、階段を転げ落ちパソコンを壊してしまった。本人はいたく反省して「もう二度と転げないようにします。パソコンは4月の給料で弁償します」と言ってきた。まあ、弁償させるわけにもいかないので、先輩の古いパソコンを使っている。ところがそのパソコン、具合が悪いそうで、先輩からは「また壊したのか」とからかわれている。あれやこれやあり、ボクは彼女のことを秘かに「オッチョコ」ちゃんと呼んでいる。そう、ちょっと(どころではないかもしれないが)オッチョコチョイなのだ。

もう一人は男性で、販促事業部門にいる。KABは今年10月に開局20周年を迎えるので、記念のイベントがたくさんある。それを取り仕切るのが販促の仕事だ。ある日、彼はイベントの案内状を頼まれた。見本の通り、案内状を作って、封筒に入れた。そこでハタと気がついた。見本に「○○の候」とあり、○○には新緑とか若葉とか、季節の言葉をいれるのだが、それを○○のままにしていたとか。

初月給祖父母、両親を中華料理店に招待して、ご馳走した。お母さんは感激して、涙ぐんだそうだ。よく「今時の若者は」というが、なかなかどうして親孝行の息子のようだ。彼を何と呼ぼうか、まだ迷っている。本人の話だと、連日、緊張のしっぱなしだそうで、当面は「キンチョマン」と呼ぶことにしよう。

かくいうボクだって40年ほど前は、新入社員として苦労のしっぱなしだった。なにせ初任地が東北の秋田で、取材に行っても秋田弁が全く分からず、原稿も書けず、叱られることばかり。当時の新人教育なんて、あってないようなもの。原稿をデスクに提出すると、「これは使えない」と、原稿はゴミ箱に。どこがどう悪くて、どう書き直せばいいのか。指導は全くなし。2年ぶりに来た新人ということで、先輩に可愛がられた。毎晩、1時、2時まで、酒を飲まされ、翌日は7時半までに警察を回れと言われた。5月病になるゆとりもなかった。

新人の先輩、上司に聞いたところ、二人ともなかなかよさそうで、将来が楽しみだとか。願わくば、コケボウやS姉さんのようには育ってほしくない。どういう意味かって。書かなくても分るだろう。

コケボウのひとこと

新人研修以来、なかなか新人ちゃんとお話する機会もないのですが、いろんなことしでかしてるのねぇ。
新人の時の失敗は大いに結構だと思います。
対外的には「新人だから」という言い訳は、全くできませんが、仕事というものはいろいろしでかして覚えていくものです。
社長だって、失敗談だか武勇伝だかわからないエピソードには事欠かないようで、このコラムでも何度かネタとしてでてきましたね。
しかも新人時代のエピソードだけではなく、支局長時代の失敗談もあったような。
世の中の新人さん、失敗することを恐れて臆病にならないでください。
若葉マークがついているうちは、そのフォローは我々古参の仕事。
後の始末は先輩に任せて次にいけばいい。
そして同じ間違いをしなきゃいいんです。
うちの部に新人が配属しなかったから言ってる訳ではありませんよ。
若干気が楽なのは事実だけど。(笑)
1期生の私には先輩と呼べる人はなく、開局に向け殺気立った状態の中、何か質問しようものなら殺されそうな雰囲気の中新人時代を過ごしました。(実際はみんな優しい人だったんですけどね)
ま、そうやってここまで来たのですから逞しくもなりますわね。
失敗談は社長よりは少ないと思いますが、それでも10や20じゃありません。
試写会を担当している時、招待状には実際の会場じゃないところを印刷してしまい、気がついたのは開場1時間前。(会場同士が近かったのが救いでした)
主演男優にインタビューを取りに行ったとき「カメラ回しますのでよけてください」とお願いした男性が、まさにその主演男優だった。(メイク前で別人だったんだもん)
休日の新聞のテレビ欄、実際とはまるで違うことが掲載されてる。
それが1週間後の編成だと気がついた頃には、会社は苦情の電話でパンクしそうだったとか。(たまたま出社していた部長が一人で対応したらしい)
・・・そんな事をしでかしても、いつも周りには仲間がいて一緒に失敗の穴埋めをしてくれました。
新人のみなさん、誰かに頼れることも新人の特権の一つです。
大丈夫!失敗だらけ(?)だった社長ですもの。
ちょっとやそっとじゃ叱られませんって。
ねっ!社長。