ボクが社長の座を放逐されて、早くも一か月が過ぎた。それなのに5年間も「社長」と呼ばれてきただけに、にわかに「カイチョー」と言われても、ピンとこない。逆に植田社長が「シャチョー」と呼ばれていると、つい、返事をしそうになる。というわけで「カイチョーは オレのことかと ボケがいい」

いったい、カイチョーとはなんだろう。辞書で調べたら、「社長の上に位置する、その会社の長」という意味と「社長を引退した人の名誉的称号」という二つの意味があるそうだ。さてボクの場合は、どちらなのだろう。当然、最初の意味と思い込んでいた。ところが、どうも違う。社員の見る目は、単なる名誉的称号なのだ。確かに「御昇格、おめでとうございます」と、近寄ってくる社員もいる。そういうのに限って「祝杯を」という。どうやら「昇格と おだてあげては サケたかり」というヤツだ。

「社長会」という会合がある。先日、その会で送別会を開いてくれた。送別会といえば聞こえはいいが、本当は「もう、会うこともない。サラバ」ということだ。ちょうど夕日が金峰山に沈みかけ、熊本城が輝いて見えた。実にすばらしい風景に恵まれた。ところが、ひとりが「だれかさんみたいな落日だな」とつぶやいた。夕日はまだいい。翌朝になれば、また陽は昇るのだから。しかし、ボクが返り咲くことはありえない。そこで「落日と 我が身比べて 空涙」となる。

この一か月で、体重が三キロほど減少した。なにしろ植田社長や社員たちに、ジクリ、グサリと嫌がらせイジメを受けているからだ。社長からは「カイチョーに報酬を支払うゆとりはない。生活費はコラムの原稿料とCM出演料で稼いでもらいたい」と宣告された。社長はボクが人選したのだが、その人選が明確に間違えていた。社長は「カイチョーには人を見る目がない。だから放逐されたのだ」と言い放った。そうか、ボクには、もともと人を見る目がなかったのか。かくして「人選を 違えた報い トタで受け」ということで、痩せ衰えたわけだ。

社内ではもちろん「カイチョー」と呼ばれている。ところが、どうもアクセントが違う。よく聞いてみると、蔭では「怪蝶」と言っている。昼間は会長派を旗揚げしようと、同志を捜して、社内をパタパタと動き回る。もちろん賛同する社員がいるわけもない。夜は寂しさを紛らわすために、飲み屋街をパタパタと徘徊する。それが怪しいチョウチョウにそっくりということらしい。こうなれば「怪蝶と バカにされつつ 飛び回る」しかないか。誤解がないように言っておくが、それはあくまでも愚かしい社員の憶測であって、現実にボクがそうしているわけではない。

ボクは別に泣き言をいっているわけではない。単に事実を報告しているだけだ。社長時代と同じように意気軒高で、仕事も、遊びも謳歌している。体調もカイチョー(快調)だ。同情されるなんてまっぴらだ。えっ「ボケぶりも ここまでくれば 救われず」だって。余計な御世話だ。

さて、2ヶ月後にはどうなっているか。まだ生きていたら報告しよう。

コケボウのひとこと

怪蝶ねぇ〜。
昼間飛んだら「怪鳥」なのかしら(笑)
昼間徘徊するのは、そのほとんどがネタ探しで、夜間徘徊するのは、今に始まったことではなく、その職責とはまったく関係ないじっとしていられない習性によるものだと思われます。
「寂しさを・・・」なんて書かれると心配される方もいらっしゃるでしょうが、どうぞご心配なく。
そこまでワタクシ達も薄情ではありませんことよ。
どうもKABの社長になってからは、下からの突き上げによる様々な過酷な仕事をこなしてきたのが、すっかり身についてしまって、普通に仕事をするのが物足りないのでしょうね。
であれば、わかりました
「ほんとうに ボケるまえに つかっちゃえ」です。
コラムの回数増やしますか!?
そういえば言われっぱなしの社長も「どこかでリベンジだ〜」って言ってましたっけ。
新しい企画、何か考えてね、S姉さん。