狂乱のサクラの季節も、ほぼ終わった。この時期、どういう訳か、サクラに心を惑わされ、花見の宴をハシゴして回る。昨年は京都まで花見に行ったが、今年は県内を徘徊するに留めた。ゴルフに行ってもゴルフ場内のサクラにうつつを抜かし、スコアはメチャメチャ(決して言い訳しているわけではない)。連日のように酒食付きの花見が続いたが、ストレスも解消し、体調は万全。これもサクラの薬効か。

そうこうしているうちに、熊本市神水本町に新しい結婚式場が完成し、併設されたフレンチレストランとバーのオープニングパーティーの招待状が届いた。この結婚式場は、約300年前、細川家の別邸として造られた桃山式回遊庭園「神水苑」を保存したうえで建てられている。ひょっとしたら名残のサクラも見られるかもしれず、ボクは勇んで出かけた。

実は、この「神水苑」は貴重な思い出の場所でもあった。ボクが御幼少のみぎり、今は亡き父に連れられて遊びにいったことがある。清冽な池に湧水が溢れ、築山の眺めと合わせて、その美しさに心を奪われた。池では魚釣りを楽しみ、入れ食いだったことも鮮明に覚えている。ボクは大人になったら、カネを貯めて、ここを自分のものにしようと秘かに決意していた記憶もある。

それから半世紀、ボクは東京を中心に出稼ぎに行ったが、カネが貯まるどころか、尾羽うち枯らして、帰郷することとなった。左うちわの生活どころか、いまだに肉体労働をしている始末だ。それでも「神水苑」が気にかかり、何度か様子を見に行った。しかし、塀に囲まれ工事中で、中をうかがうことはできなかった。

パーティーに先立ち、苑内を散策した。池は子供の頃より、小さく見え、水量も減って、浅く見えた。当時は水面に並行して横たわった形の巨木があり、そこに登って遊んだが、その巨木もなくなっていた。その代りと言っては何だが、岸辺に水芭蕉が咲き誇っていた。片隅に台杉(だいすぎ)をふた株見つけた。台杉は京都の北山で栽培される貴重な杉だが、これほど大きなものは見たことがない。苑内を流れる小川にはホタルを放流しているので、今年は沢山のホタルが乱舞するかもしれないとのことだった。

なんでも結婚式場の経営者の話によると、以前はホテルがあったが、閉鎖された。その後、池を埋め立て、築山を平地にして高層マンションを建てる計画があった。しかし、「神水苑」ほどの名園を潰すのはもったいなく、そのまま残して結婚式場にしたとか。工事は池を残すために水との戦いで、相当な難工事だったらしい

お陰で「神水苑」は無事、残され、保存されることになった。ボクも子供の頃の貴重な思い出を甦えさせることができた。県民や市民にとっても有難いことだ。結婚式場は「マリエール神水苑」という。このコラムでもお礼をいっておきたい

そうそう、フレンチ料理は美しく、美味だった。ワインもおいしかった。食後のバーも居心地よく、ついつい10時過ぎまで居座ってしまった。結婚式で貸し切りになっていなければレストランもバーも自由に使えるそうだ(もちろんお金は払わなくてはならない)。機会を見て、再度、行きたいものだ。

ヤッちゃんのタメ口

春の人事異動で、今月からアナウンサーを失職し、広報担当を押しつけられた。会長には「大手のヤッちゃん」とか「汚れヒゲのヤッちゃん」とか呼ばれている。それならこれからはヤッちゃんで押し通そうではないか。前任者はコケボウだった。オレの見るところ、コケボウは優しすぎた。ずぼらな会長を働かせるには、笑顔を見せてはダメだ。もっとビシバシと腕力を振るわないと。会長にはそれなりの覚悟をしてもらいたい。
オレの担当するコラムの名前は「ヤッちゃんのタメ口」にする。タメ口とは「敬語や丁寧語を一切使わず、上下関係や年齢などは無視して、友達のような口の聞き方をする」ことだ。もちろん会長や社長なんて肩書には関係なく(ちなみにオレは社長派だ)、オレと平等の立場として扱わせてもらう。ヤッちゃんに楯突くと、いかに怖いか、思い知らせてやるつもりだ。
それにしても、新入社員や部署移動した人間(オレも含む)が休む間もなく働いていると言うのに、花見の宴のハシゴだの県内を徘徊だの、挙句の果てには‘体調万全‘とは
さすが会長様だ!!いつかオレもその座に登りつめてやるから、それまでは会長の座に座り続けていろよ。その時が今から楽しみだ・・・(笑)
そうだ!これから会長を再教育して、もっと知性と教養と品格のあるコラムを書かせることにしよう。なにか文句があるか。オレの態度が不満なら、いつでもアナウンサーとして返り咲いてやる。
あっ、そうそう、コラムの一部には、オレも同感する部分もあったことも付け加えておこう。これは自己保身でかいたのではないから・・・多分。
ともあれ、これからは皆さんと末永くお付き合いするつもりだ。会長と丁々発止の駆け引き、やり取りを楽しんでもらいたい。