ボクが社長の座を放逐され、窓際族の会長に就任して、1年1カ月余りが過ぎた。あっという間だったような気がする。一番いいのは経営の責任から解放されたことだ。お陰で楽しく毎日を過ごすことができるようになった。いわば地獄から天国に転勤したようなものだ。その分、ジャポニカ・セナガアナゴこと植田社長の抱える重圧は増えただろうが、この際、他人のことはどうでもいい

社外の人からは「毎日、出社しているのか」とよく聞かれる。そのたびに「他に行くところがないので、出社している」と答えている。一応、取締役という肩書が付いているし、「お手当」も貰っているから、まあ、出勤しないわけにはいかない。ただし、以前は社員に範を示すということで、出勤時間内にはきちんと出ていたが、いまやその必要もない。ということで、10分、15分の遅刻は当たり前のようになった。

もうひとつ。何時、どのような形で突発的なことが起きるか分からない。だから、できる限り社内に居るように努めていた。社外で会合や会議などがあるときはタクシーを使い、トンボ帰りしていた。これもアナゴ社長に任せればいいことだ。今では電車かバスを使い、のんびりと往復するようになった。車中では読書をしたり、周りの四季の風景を眺めたり、楽しい限りだ。本当は経費節減で、会長のタクシー代が削られただけの話なのだ。実に切ないことだ。

もっと肝心なことは、ボクは居ても居なくても構わない立場になったということだ。それどころか、社員の対応を見ていると、社内では邪魔っけな存在で、できれば「出社に及ばず」ということらしい。アナゴ社長の腰巾着のヤッちゃんなんて、コラムを提出する日以外は「えっ、また来たの」という顔をしている。

アナゴ社長は、初対面のお客さんが来訪するたびに「わが社内では、会長派と社長派の熾烈な派閥抗争が起きている」という。冗談ではない。会長派はボクひとりで、圧倒殲滅させられ、派閥抗争なんて、とっくの昔に終結している。社長がこの話を持ち出すごとに、ボクは釈明しないといけない。最近、社長には、ある魂胆があることが分かってきた。要するに派閥抗争に勝利したことを、お客さんに知らせ、喜びに浸るのだ。

それだけではない。会長派が絶滅したことで、もはやボクの出番はない。そのことをボクに事あるごとに知らしめ、屈辱感を味あわせる狙いもミエミエなのだ。さらに「復権の望みはないから、出社してきてもムダ出社に及ばず」と、暗に示唆している。実に巧妙かつ腹黒い。まさにアナゴの浅知恵ではないか。

お陰で、ボクは出社しても、まるで針のむしろに座らせられているような気がする。それなら出勤しなければいいではないかと言われそうだ。しかし、そうはいかない。アナゴの浅知恵に負けてたまるか。出社は社長への嫌がらせにもなる。さらにボクを裏切って社長派に鞍替えした社員に、いつかは仕返しをしなければならない。その機会をうかがうためにも会社にいるのだ。どんな仕返しか。それは再来週あたり長ーい夏休みをとって、じっくり考えてみよう。ヤッちゃん、覚悟して待っていろよ

ヤッちゃんのタメ口

最近の厳しい暑さで少しばかり体調を心配してやっていたが(オレ様は社長派だが、会長の体調を心配する“優しさ”がある広報マンなのだ!)このコラムを読む限りでは元気だな
まあ、仕事が減ると良からぬことばかりを考える時間が増えるようで、会社をより良い方向に導こうと奮闘されている社長様の悪口を言うなんて困ったもんだ。社長様は体調を気遣って、「無理をされないで下さいね」と考えていらっしゃるのに。まあ、立派な方だから何を言われても気にされないと思うが。
ただオレ様も少しばかり反省している。会長がここまで寂しがっているとは気付かなかった。まだまだ元気に徘徊してもらわないといけないから(あれでも会長の知名度はなかなかのものなので、広報的にも使い勝手がいいのだ)オレ様からも声をかけてやろう…と、この原稿を書いていたら会長が来たぞ!んっ、地デジカ(地デジのPRキャラクター)のぬいぐるみで遊んでいる。なんか楽しそうだぞ…(汗)コケボウ先輩!ちょっと相手をしてやってくれ!!