「天草にクルージングに行きませんか」と誘いがかかった。直ちに飛びついた。飢えた野良犬みたいなものだ。熊本市内のある会社の会長さんが所有しているクルーザーに乗せてもらえるそうだ。しかも往復の車付き、シャンペン、ワイン、ビールに美味しい食事もあるとか。上膳、据膳の案内につい涎(よだれ)が出てきた

上天草市のヨットハーバーに大きなクルーザーが停泊していた。参加者はオーナーの会長さんも含めて定員一杯の12人。まずは海水浴場の沖合まで行って、シャンパンで乾杯。おにぎりやつまみもいただき、ついでにワインにも手を伸ばす。落ち着いたところで、若い順に海中にドボン。ボクも意を決して足から飛び込んだ。なにせ4、5年ぶりの海水浴だ。ゴボゴボと沈む。でも大丈夫。救命具を着けているから。わずか数分だっ
たのに、数十分も泳いだ(?)ような気がした。

次はウェイクボードに挑戦。あまり聞きなれないが、まあ水上スキーと思えばいい。みんな果敢に挑んだが、男性陣はせいぜい中腰になるぐらいが限界。女性陣は、高校生とその母親が、それぞれスッと立ちあがって、波を切り分けてスイスイと進んだ。見事なものだ。なんでも以前に数回、練習したとか。ただし、他の女性はみんな全滅した。

ボクはどうしたか。もちろん、挑戦した。まず水中でボードの靴を履く。うまくいった。ついでロープの先のバーを握りしめ、ボードを進行方向と直角にする。ロープが次第に張りつめていく。さあ、立ちあがるぞ。と思った瞬間、身体は水中にでんぐり返った。ぐんぐん引っ張られていく。バーが手から離れない。水圧が締め付けてくる。えっ、このまま死ぬのか。その時、気がついた。手の平を広げればバーは離れるのだった。ボクは迷惑を掛けたくなかったので、1回で止めた。けっして諦めたからではない。「年寄りの冷や水」と言うなかれ。これは「年寄りの海水」だ。

さあ昼食だ。みんなの手作りの料理をワインで流し込む。海上での食事の美味いこと。ワインはいくらでも飲めるが、自制した。次はマンタという遊びだった。巨大なエイの形の二人乗りの浮き袋(?)を引っ張ってもらう。バランスを崩すと転落する。マンタは45度ぐらいの角度で空中に舞い上がる。ボクは転げ落ちることなく完走した。もっともボクが乗った時には、マンタの空気が抜けて、飛び上がることもなかったのだが。最後にパラセーリングということだったが、時折、激しい雨に見舞われたことと、南風がないということで中止に。折角、ボクの実力を見せてやろうと思っていたのに残念だった

それにしてもオーナーの会長さんは、すごい人物だった。ボクらの下手な遊びに文句も言わず、グルグルと運転を続けてくれた。お手本を見せてくれたウェイクボードでは、髪の毛一筋、海水に濡らすことなく、華麗な水上の舞を披露してくれた。それで70歳だって。威張ることなく、恩着せがましさも微塵もない。人格的にもすっかり惚れこんでしまった。同じ会長でもこんなに違うのか。船だって、ボクはせいぜい会議中に「舟をこぐ」のが精一杯なのに。

ボクは一時的に2、30才も若返った気がした。また奇跡が起こって誘いがこないかなあ。

ヤッちゃんのタメ口

会長!いくら会社での仕事がなくなったからと言って。体力を持て余しているからと言ってあまりむちゃをしないでくれ!!怪我でもしたらどうするんだ。会長の代わりとなるのは会長でしかないんだから。オレ様は心配で心配で眠れなくなるじゃないか…。
そんなに体力を持て余しているなら、オレ様がPRの仕事をまわすから。それとも茶飲み友だちの“コケボウ”を会長室に派遣したほうがいいか…と、コケボウで思い出した!前回のコラム“相棒?”(9月8日掲載)で名前が出たのがうれしいらしく、抗議の文章をオレ様にすごい剣幕で送りつけてきた!!オレ様は“心が太平洋”だからそのまま掲載してやろう。どうも会長の相棒ならぬ“コケボウ”と言われたのがとてもうれしかったらしい。

コケボウの言い分

相棒(アイボウ)=コケボウ。
いくら語呂がいいからって、会長の相棒がワタシ??
ちょっと聞き捨てならない!
私の相棒は~まずは「メン」イケメンなのが第一条件。
最近制作の現場であうのは、ピチピチの大学生の男の子たち
若いエキスを吸い取りながら、ますます弾け飛んでいるところに相棒が「会長」だなんて。
ここにいると会長を見かけることもなくすっかりその存在さえ忘れてたし…
(最近は社内の徘徊はせず、その体力はもっぱら深夜徘徊用に温存しているらしい。ある日の午前中の万歩計は300歩だった)
会長が勝手に思って頂く分にはかまいませんが、片思いですから~。
私はやっぱりイケメンがいい♪
若いイケメンならもっといい♪♪
よって…どっちの条件からも外れている会長の相棒就任はお断りいたします。
わかった?ヤッちゃん。
どっかにいないかな、そんな相棒。