最近、ボクはゴルフが嫌いになった。とにかくゴルフのプレーで、やることなすこと、全てが裏目に出て、ゴルフにならないからだ。知人に言わせると、それは「嫌よ嫌よも好きなうち」ということだそうだ。まさか男と女の関係ではあるまいし、とんでもないことだ。ひょっとしたら「嫌よ嫌よ」と言いながら、ゴルフ場に足繁く通っているのがバレたのだろうか。

先日、ゴルフコンペを控えたある会合で、「ゴルフは紳士淑女のスポーツだから、そのことを十分、踏まえて参加してほしい」と「訓示」を垂れてやった。つまり「もっぱらスコアだけを競うのでは、紳士のスポーツとは言えない。ゴルフの目的は、一緒に回る人に喜んでもらい、優越感を与えることにある。いかにして相手に勝ってもらうか、そのことが大事だ。それなのに、相手がナイスショットを打てば、腹の中で『コンチクショウ』と思い、OBになれば『よし、それでいい』と、陰で拍手する。これではいけない」。

さらに続けて、「ボクの実力から言えば、勝つことは容易いことだ。しかし、相手の好・不調に合わせて、スコアが若干、上回るように打つ。これには相当の技術力克己心が必要だ。ボクは社内で『百獣の王』と言われているが、ボクが110以上叩くのは、紳士のスポーツの目的を達成するためで、決してボクの技量が劣るとか、クラブが安物ということではない。そこは誤解ないように」と付け加えてやった。

みんな、ボクの「訓示」を唖然として聞いていた。ボクのことをよほどの負けず嫌いと思い込んだようだ。とんでもないことだ。ボクは翌日のコンペで「紳士のスポーツはかくあるべきだ」という見本を実践してやった。スコアは110というか120近く。順番はどん尻の敢闘賞でもよかったが、ボクよりさらに紳士的な人がいて、ボクは残念ながら下から2番目のブービーになってしまった。

それはともかく、このところ、絶不調が続いている。なんとか起死回生をと思えば思うほど、泥沼にはまり込んでいく感じなのだ。ついに意を決したボクは、シングルプレイヤーほどの腕前を持つ、料理店「にし山」のマスターに教えを請うことにした。時折、店が暇な時に手解きを受けていたが、それではラチがあかない。ついに練習場に同行してもらうことにした。

教えられてびっくりした。ボクの基本姿勢も動作も全て間違いだった。クラブの握り方、足の位置、腕の振り方、体重の移動…あれもこれもだ。ボクのアイアンは右に飛ぶ。というか外れてしまう。それを直そうと、自己流で修正に修正を重ねていた。ところが、素人の悲しさ、さらに右に行く修正、練習を重ねていたことが判明したのだ。これではゴルフにはならない。

マスターも、茫然としていたが、諦めて丁寧に教えてくれた。やはり兼好法師の徒然草でいう「少しのことにも先達はあらまほしき事なり」というのは事実だった。ボクのボールは真っ直ぐ飛ぶようになった。この調子なら100を切るのは容易い。と思ったが、一晩、寝たら、大事な教えを思い出せないことに気がついた。さあ、どうするか。

ヤッちゃんのタメ口

せっかくの指導を一晩で忘れるとは…なんとももったいない!!いや、そう思わせてみんなを油断させるだけの作戦かもしれないぞ?

そもそも密かに練習に行くことが“負けず嫌い”以外の何ものでもない。“絶不調”と言うのは調子のいい時がある人(選手)が使う言葉であって、会長の場合は当てはまらない。それでも自分をその位置に置くということは良くも悪くも向上心の表れだろう。まあ、年齢を考えると向上心があるのは立派なことだが…。

その会長が意を決して“指導”を受けた訳だからその機会を逃すはずがない

指導を受けた会長のプレーぶりを周りが注目する ⇒ その視線をプレッシャーに感じる ⇒ 思うようにプレーに集中出来ない ⇒ スコアが伸びず泥沼に…この悪循環の法則から逃れるために、このコラムを利用して策を練るとは!!なかなかの策士だな~。だが、その策はオレ様が見破ったから通用しないぞ。

今度のゴルフでも周りの人を楽しませてやるんだ。それが使命なんだから…