いやあ、参った。今週から始まったKABのCMを見て、ボクは仰天した。主演(?)はボクだが、余りにも酷過ぎるのだ。あれでは赤っ恥を天下に晒しているようなものだ。試写をチョコッと見た時には感じなかったのだが、じっくり見てみると正視に堪えない。いろんな角度から撮影されたのだが、CMの制作者は、一番絵柄の悪いところだけを集めて作ったに違いない。特に最後の場面ともなると、認知症の患者が絶叫しているかのようだ。もっと何とかならないものか。

当然、社内の評判も悪い。「あれは何のCMですか」というのはまだいい。「KABの評判が落ちる」とか「視聴率が下がる」とか言いたい放題。なかには「相談役が笑い者になるのは構わないが、KABまで笑い者になる」だって。社内でボクは使い捨て状態というか、見捨てられた立場にあるということもよく分かった。どう考えても広報担当のヤッコダコの策謀に引っかかったのだ。もっともボクが社長時代に出たCMも、社内での当初の評判は悪かったから、今度も気にしないことにしている。

ところが社外からのメールは、ほとんど好意的なものが多い。2日間で7通が届いた。「昨日は4回もテレビでお見受けしました。なかなかの出来栄えですね。くまパワのも迫力ありましたが、今回は演技もお元気そうで何よりです」とそれなりに評価してくれている。社外の人達の方がモノを見る眼があるというのは言い過ぎか。「相談役に物足りない、アグレッシブなアピールをいろんな番組の合間に見れて元気をもらっています」と言われるとつい嬉しくなってしまう。

なかにはCMを真剣に受け止めた人も。「たった今、相談役の悩みを知りました。相談役と言っても寂しいんですね。これから沢山、CMに出まくりましょう」と同情もかった。そうなんだ。ボクはCMに出ても寂しいんだ。これからも遊び相手になってほしい。なかにはどう受け止めていいのか迷うものも。「“相談役”、いえ“爽男役”、いいえ“冗談役”でしょう」とか「コマーシャル笑えます!さすが演技派相談役…」と言われると、誉められているのか、貶されているのか。まあ、どちらでもいいけど。

どういうわけか東京からのメールもあった。「祝・CMご出演。いまだに会社に貢献しているのはさすがです」という。一読すると、何となく誉めてあるようだが、よくよく考えると、そうでもない。「ジジイになってまで、出しゃばるとは何事ごとか。少しは歳のことも考えないと。年寄りの冷や水はやめろ」とも読める。本心はどうだかわからないが、メールの送り主は素直な人だから素直に受け取っておこう。

さてCMの最後に「つづく」と出てくる。ということは、このCMには続編があるということだ。次は何かと言うと、朝の番組の視聴率を少しでも上げるための番組宣伝のCMになるわけだ。ボクが出るCMで視聴率が上がるとは考えられないが、おそらくヤッコダコとしては藁にもすがりたい気持ちなのだろう。この際、ボクとしては私心を捨て去り、気持ちよく協力するつもりだが…。

ヤッちゃんのタメ口

オレ様は見てしまった。相談役室での出来事を…。CM放送開始の27日、珍しく相談役が朝からオレ様のいるフロアをうろうろしていた。「何事か?」と思っていると、コソコソとCMの放送担当と話をしているじゃないか!オレ様はその時ピンときた。「もしや自分が出演したCMの件では」と。さては何時ごろ流れるのかを確認に来ていたのか?

とりあえず撮影で協力してもらった訳だから礼を言ってやろうと思い相談役室に入ろうとした所…オレ様は見てしまった。自分が出演しているCMを楽しそうに見ている相談役の姿を。どこか照れくさそうな、それでも喜びが全身からにじみ出るような笑顔でCMを見ている相談役の姿を。

この時オレ様は確信した。まだまだ相談役をこき使えると。暇を持て余さないようにする方法はこれだと。相談役、安心しろ。自分で出る出ないうんぬんの話ではなく、有無を言わせずこき使ってやるから。早速第2弾・第3弾の絵コンテが担当ディレクターから届いたが、内容が生ぬるい!もっともっと相談役を痛めつけないと!!

と言う事で、みんなこの先の展開も期待してくれ。