先日、初めてオペラの練習に参加した。ボクとオペラといえば、ボク知性・教養と一緒で、あり得ない組合せと思うだろう。それは浅はかな見方だ。ボクはこれまでテアトロ・リリカ熊本主催のオペラは欠かさず見に行っている。あっ、こういう場合は観賞していると言うんだっけ。あるパーティーでリリカの親分である古崎正敏さんから「オペラに出演しないか」とお誘いがかかった冗談じゃない。こちとらは小学生のときからの筋金いりの音痴だ。直ちに断った。

ところが「歌わなくていい。何も言わなくていい」だって。しかも演目はボクの大好きなプッチーニ作曲の歌劇「トスカ」ときた。「歌に生き、恋に生きる情熱の女、トスカ」とくれば見逃す手はない。それに舞台に立てば葬式用の写真に使えるかもしれない。ボクはワインの酔いもあって、つい、承知してしまった。何の役で出るのかも聞いていない。古崎さんもワインに弱いボクの弱点をついて仕掛けてくるなんて。とは思ったが、反省するのが遅すぎた。

教皇役ひょっとしたら準主役クラスの役かもしれない。なんて期待はしなかった。後で聞くと、幕切れ近くに登場する教皇役で、一番、目立つところだそうだ。一通行人役ならともかく、それは困ると思ったが、もはや手遅れ。さて、練習の前に衣装を身につける。まず紫色の法衣を着る。これが長すぎて、踏みつけてしまうぐらいだ。その上にレースの純白の衣装を着る。これは軽くていいやと思ったら、さらにガウンだ。毛布のような手触りで、毛布二枚分ぐらいの重さがある。冠は金糸銀糸の刺繍に、赤、青、緑などの宝石(もちろんガラス玉)が付いている。高さは50cmぐらいある。

すべてを身につけて歩くと、フラフラするぐらい重たくて、歩き辛い。鏡をみたら田舎のチンドン屋だってこんな恰好はしないように見える。さて教皇の行列だ。少女合唱団を先頭に旗持ちが続く。ボクは四人の女性が支える紫色の天蓋の中に収まり、しずしずと歩く。舞台の左端から登場し、舞台中央を通って右端へ。しばらくして再び中央に戻って、集まって跪く群衆に左手を上げて祝福を与える。そのまま幕が下りてくる。ボクの出番は2,3分あるかないか。「やっぱりチョイ役か」なんて言っているのはヤッコダコか。見苦しい。やきもちを焼くな

それにしても立ち位置や振り付けなどの演出をしていた小西たくまさんは凄いと思った。烏合の衆だった20人ぐらいの少女合唱団を中心にした団体を、3回ぐらいの練習で、本番に準じるぐらいまで育て上げた。バラバラに見えたのが絵画的な配置に変わり、ガチガチだった姿勢が、ごく自然に見えてくる。よく見ていると、小西さんは決して叱らない。まず誉めることから始める。そのうえでの指導だから素直に受け入れられるのだろう。ボクは教育の原点を見たような気がした。

ところでトスカの公演は11月10日県立劇場午後5時開場になっている。ボクはチョイ役だから見に来てほしくないが、オペラそのものは素晴らしい。ボクが出るからと言って誉めているのではない。ヤッコダコは絶対に来るな

ヤッちゃんのタメ口

ついに本番の時が迫ってきたか。はじめは単なる冗談見栄かと思っていたが、写真を見る限り冗談じゃなかったんだな!たとえチョイ役とは言え、教皇と言えば権力の頂点に立つ人だ。(ちなみに聖闘士星矢ではかなりの実力の持ち主だぞ!!)いまだに権力の座に未練を持つ相談役には別の意味でぴったりの役かもしれないなあ~。

しかし、あの“笑顔が武器”の相談役に果たして神々しさや威厳ある振る舞いが出来るのか…オレ様には大きく疑問だぜ!?オレ様の場合は主役以外が似合わないから“アウト・オブ・眼中”だが、せいぜい重たい衣装に負けないように頑張ってくれ。もし不安だったら、相談役お気に入りの“ピンクの衣装”を持って駆け付けてやってもいいぞ。

まあ、演技と人前に出る度胸に関してはコケボウとオレ様がCM撮影で散々鍛えてやったから問題ないと思うがな。その点は感謝して欲しいぜ!!ともかく、他の人に迷惑をかけないように頑張ってくれ。