ちょっと早いと思ったが、JRで秋を探しに出かけた。なんていうと、いかにもロマンチックに聞こえるが、人吉市で会合があったので、列車で出かけただけだ。車で行こうかとも思ったが、球磨川も見たかったので、往復とも列車を選んだ。沿線のイチョウは黄葉していたが、広葉樹の紅葉はいまひとつ。それでも山の中腹には紅葉が散見できた。紅葉の盛りは1週間から2週間ぐらい後だろうか。

列車はほとんど球磨川沿いに走る。撤去が決まっている荒瀬ダムは二つの水門が解放されていた。ダムの上流は、以前はどろっとした水たまりのようにも見えたが、今は水位もかなり下がり、清流が目を楽しませてくれる。自然の回復力はやはり凄いものだ。日本の3大急流といわれる景観は、観光資源としても通用する。とにかく人吉まで退屈することはない。熊本―人吉間の約1時間半はあっという間に過ぎた。

行きも帰りも途中駅で停車したところで「SL人吉」とすれ違った。モクモクと黒煙を吐きながら疾走する蒸気機関車は、すぐそばで見ると迫力があり、圧倒される。無機質な感じは全くなく、あたかも巨大な生き物のように見える。大人気で、なかなか指定席が取れないと聞いているが、さもありなん。車窓にすずなりの乗客が、こちらを見て盛んに手を振る。ボクもつられて手を振る。何となく触れ合いを感じ、これまたいいものだ。いつか機会を作って、ぜひ乗ってみよう

人吉での会合は高校の同窓会だった。ボクは熊本○○会の役員を押し付けられており、人吉○○会の総会に呼ばれたわけだ。人吉○○会の前会長が、高校時代の3年間、同じクラスで、久しぶりに一緒に呑めるということもあった。総会には22人が参加。その中に大学時代、ボクの下宿のすぐ近所にいた一年先輩とも再会した。先輩は医師で、県医師会の理事をされていた時、あるパーティーで一度、会ったきりだった。話をしているうちにいろいろ思いだした。当時、百円二百円持って酒を飲みに行った。コップ一杯の酒ヤキトリ五本が、どちらも五十円だった。名曲喫茶店も往復の電車賃をだしても百円ですみ、二,三時間も音楽を聴きながら粘ったものだ。

同窓会といえば、先週は熊本市内の小学校の同窓会もあった。三年前、開かれたが、それが最後ということになっていた。ボクは酔っぱらって酒の勢いで「もったいない。もっと同窓会を続けよう」と気炎を吐いた。そのせいで、今回、開かれたわけだ。参加者は約60人。四クラス合わせて10人ぐらいの世話役が面倒を見てくれた。びっくりしたのは住所不明で返ってきた案内状が1通だけだったことだ。卒業して60年近く経つ。それなのに名簿管理をきちんとしていた世話役は実に見事だ。

つい話は横道にずれてしまった。翌日の朝、人吉駅に行ったら、肥薩線が開通した約百年前を記念して「ノスタルジック人吉」というイベントが開かれていた。当時の服装をした百二十人ぐらいがレトロな雰囲気で観光客を接待。これも見もので、儲けたような気がした。土産にクリのいきなりダンゴを買ったが、美味かった。帰りの列車でも車窓にへばりついて球磨川を眺めた。風景が行きとは変わって見えて面白かった。

ヤッちゃんのタメ口

列車の旅かぁ~。ゆったり風景を楽しみながらの旅はいいよなぁ~。出発から到着、更に途中の寄り道など自分を軸に考えられる車と違って、列車の旅にはいろいろと制限があるがそれ以上のワクワク感がある。時間お金があれば、オレ様もいろいろと旅に出たい。球磨川沿いを走る人吉までの風景はオートバイでも十分楽しめるが(オレ様の好きな道の1つだ!)列車の旅も良さそうだな。相談役の原稿から思わず想像してしまったぜ。

日々の忙しさに忙殺されているオレ様には“列車の旅”のようなゆとりが必要なのかもしれない。“SL人吉”には一度乗ってみたいと思っているから、相談役がどうしても一人で乗るのが寂しいと言うのなら付き合ってやってもいいぞ。なんだかんだ言いながらもきちんとこのコラムを書いているから、それぐらいはベリー忙しいオレ様と言えど相手をしてやってもいいぞ。そうと決まったら相談役、早速チケットの予約だ。もちろんチケット代は相談役に支払ってもらうがな…