年末・年始といろんなパーティーが続いている。その中に「スペシャルオリンピックス日本・熊本 設立20周年記念 全国水泳競技大会支援 佐々木典子チャリティーディナーショー」とやたらと長い名前のパーティーがあった。所詮はスペシャルオリンピックスのための資金集めのパーティー。ついでに佐々木典子の歌のひとつでも聞いてもらおうということか。最初から気乗りはしなかったが、まあ、いろんな付き合いもあり、顔を出すことにした。

ところが歌を聞いて仰天した。「ついでに」なんていう範疇ではない。正真正銘のオペラ歌手ではないか。なんでも熊本・玉名出身で、武蔵野音大卒後、ザルツブルクの芸術大を首席卒業。ウイーン国立歌劇場の専属歌手として活躍、ヨーロッパや日本国内の舞台に数多く出演し、現在は東京音大の教授。日本を代表するプリマドンナでもある。熊本出身にこんな凄い歌手がいたということを、これまで知らなかったのは不覚だ。

ホテルの会場ではマイクを使うことなく、朗々とした歌唱を響かせた。その心情溢れる、品格ある声に、詰めかけた950人の聴衆は、ただうっとり。別に難しい歌ではない。「野ばら」「庭の千草」など子供も知っている歌からシューベルトの「鱒」、メンデルスゾーンの「歌の翼に」などのクラシック、あるいはオペラのアリアなど、聞きなれた歌を中心に聴衆を魅了。ボクも恥ずかしながらひたすら聞き惚れた

佐々木さんを見ていると、身体全身から声を出しているように見える。大声を出すということではなく、ひたすら歌声を響かせているという感じ。特に高音部の透明な声は素晴らしいの一言に尽きる。佐々木さんの説明によると、声楽は人間楽器であり、これを鳴らすには日頃の肉体的トレーニングが不可欠だとか。やはり一流の人のいうことは違う

ボクの精神的ショックは、これだけにとどまらなかった。食事も進み、赤ワインの酔いが回る頃、舞台にスペシャルオリンピックスに出場する選手たちが登場した。子供から2,30歳ぐらいまで。見ただけで知的障害者と分かる。ところが決意表明する彼らの姿はひたむきで、力強く、障害を少しも感じさせない。ボクの心のどこかにあった同情とか憐れみという感情は間違いであることに気付かされた。

舞台に上がった彼らの母親はこう言った。「これまでは皆の前に出ることもなく、家族以外との付き合いもなかった。でもスポーツと出会い、トレーニングを重ねるうちに変わりました。今では舞台にも上がれるし、堂々と自分の意見も言えるようになりました」。これこそがスペシャルオリンピックスの真髄だろう。ひたすらスポーツに打ち込むことによって知的障害を乗り越える。一回りも二回りも人間が大きくなるのだろう。

翻ってボクは何だろう。暴飲暴食に現(うつつ)を抜かし、ゴルフや温泉巡りの快楽に溺れ、向上心も忘れ、その日暮らしに追われている。ボクは彼らのために何ができるのだろう。なんて心は千路に乱れ、ワインの酔いも吹き飛んだ。でもいまさら生き方も変えられないだろうしなあ。複雑な気持ちを抱えて帰宅した。で、その夜もまた焼酎を呑んだ。まさに小人救いがたしということか。

ヤッちゃんのタメ口

年末年始もこれまでと変わらずここぞとばかりに飲み歩くとは相変わらず平和な生き方だなあ~。まあ、いろいろと出かける元気があるのはいいことだとは思うが…

しかし、そんなに自分自身を卑下しなくてもいいぞ。確かに、毎晩のように飲み歩き、ゴルフに旅にグルメにとあちこち遊び回ってばかりいるが、全てこのコラムのネタを見つけるためじゃないか。まあ、オレ様にすれば“きちんとした目的”のもとにアレコレしている訳だから、そんな生き方を否定はしないぞ!!これからもいろんな事をしてこのコラムを盛り上げてくれ。豊富な話題でコラムを読む人たちを楽しませてくれよな!!

えっ、きょうはずいぶん相談役の肩を持つじゃないかって?そりゃあ、これから相談役に降りかかる大仕事をスムーズに進めるには…おっと、ついつい口が滑りそうになったぜ!!この事はまだまだ秘密だったな。相談役、楽しみにしてくれよ。酔いが瞬間的に冷めてしまうようなスペシャル任務を持っていってやるから…