夏の夜空の色どりといえば花火に限る。今年は東京の隅田川花火大会が開始後30分で豪雨のために中止になるなど雨に祟られた花火大会も話題になった。なんでも雨に濡れた花火は使い物にならず、損害も大きいとか。分解して火薬を詰め直すのかと思っていたら、手間が掛って採算が取れないそうだ。

数日前、中学校の有志の同窓会が熊本市の植木町であった。日帰りだが温泉に浸かって酒食を楽しむという。この日は朝から断続的に激しい雨が降っていたが、温泉は雨とは関係ないのでボクも参加した。待ち合わせのJR上熊本駅に行くと、集まった同級生がしきりに雨の心配をしている。「温泉に入ればどうせ濡れるんだ。なんで雨が気になるの」と聞いたら、みんなバカにした顔をした。なんでも植木温泉納涼花火大会を見に行くのが今回の同窓会の目的だそうだ。それを教えてもらえなかったのはボクだけということも分かった。バカみたいな話だ。

国道3号線は渋滞がひどく、一向に前に進まない。ボクらを乗せた温泉宿のマイクロバスは裏道から裏道を辿って、なんとか6時ごろには到着した。まずは温泉だ。小雨に濡れながら露天風呂に入る。なかなか風情があり、雨の露天もいいものだ。食事するころには雨も上がった。窓の向うに花火打ち上げ場所の合志川河川敷が見える。打ち上げられた花火が窓一面に広がる。これまで各地の花火大会を見てきたが、今回が最上の特等席だ。

それにしても花火の種類の多さに驚かされる。昨年は山鹿の花火大会に行ったが、その時には見られなかった新しい花火も目立った。いまではコンピューター制御で花火を作っているという話もきいた。大きく広がった花火の火の球の一つ一つが、また花開いて小宇宙を形成するようなものもある。ハート型首飾りのような形もある。とにかく1時間、全く見飽きなかった。一発上がるごとに思わず「オーッ」という声を上げてしまう。お陰で声は枯れてくるわ、上を見上げて首筋は痛くなるわ。窓際にしがみ付いているボクを見て、同級生たちは「まるで子供だ」と嘲笑っていたが、なに構うものか

打ち上げの音の多彩さにも初めて気がついた。「ヒュルヒュル、ドーン」という単調なものだけではない。「シュルシュル、パーン」とか「シュッ、パン」とか「ドーン、パッパッ」とか花火ごとに違って聞こえる。もうひとつ、新たに気が付いたのは花火が消えた後の煙の美しさだ。この日はほとんど風がなかったためかもしれない。何百にも細かく枝分かれした煙の筋が得も言われぬ文様を描き出している。いずれも繊細な感覚の持ち主でなければ気がつかないだろう。えっ、花火の話に託けて自分のことの自慢をしているのかって。バレてしまったか

鈍感なS姉さんたちには想像もつかないような美的感覚研ぎ澄まされた視覚、聴覚の持ち主が、このボクなのだ。この部分に至るまでいろんな話を書き続けてきたが、やっと自画自賛の結論にたどり着いた。ウッシッシ。

それはともかく、同窓会でこの温泉宿に来年の植木の花火大会の夜の予約もしてしまった。宿の女将が独身だからというわけではない。そこは誤解しないでほしい。

S姉さんのひとこと

まぁ、花火ですか。いいですねぇ
植木温泉で素敵な花火をご覧になったんですね。

それにしても、花火が消えた後に、何百にも細かく枝分かれした煙の筋、なんてありましたか?全く、気がつきませんでした。
顧問よりは、美しいものを理解しているつもりだったんですけどねぇ。
顧問の、凡人には「想像もつかないような美的感覚研ぎ澄まされた視覚、聴覚」にはとうてい敵わないということですね(笑)
ま、私は、先日の夜中の雷雨でも目が覚めなかったくらいですから、今回はお譲りしておきます^^;