このところ国会で、きな臭い話が広がっている。言うまでもなく特定秘密保護法案だ。政府・自民党は今国会中の成立を目指し、野党との修正協議を急いでいる。ところが同法案の本質的議論には至らず表面上の法技術的な問題のところで止まっているような感じがする。このままでは大幅な修正もなしに衆院を通るのではないか。そうなると国民の知る権利報道の自由著しく損なわれる恐れがある。

秘密保護については現在でも公務員法自衛隊法などで網が掛けられている。それを「外交、防衛、スパイ活動防止、テロ防止」についてはさらに厳格に扱い、罰則も最大で10倍に強化する。一見、あまり問題はなさそうだが、秘密の対象は「国の安全保障に著しい支障を与える情報」であり、秘密の範囲を拡大される恐れは十分ある。条文を見てもやたらと「その他」という文言が多く、曖昧さを残している。処罰の対象も公務員に限らず、情報を取得した側も含まれる。

学識経験者の話を聞いていると、戦前の治安維持法の再来と指摘する意見もある。治安維持法では国民の言論、行動は厳しく監視され、ほんの些細なことで逮捕される事例も相次いだ。秘密保護法とはかなり違う法律だが、共通する地盤を抱えている。秘密保護法では国民の耳と目が塞がれる恐れがある。特定秘密の内容は大臣など行政機関の長の判断による。言ってみれば広範な解釈も可能であり、政府のさじ加減次第だ。例えば反原発運動やTPP(環太平洋連携協定)反対運動を進めようとしても、それらが「国の安全保障に支障あり」と判断されれば、関係する情報は国民に届かなくなる

もともと公務員は「秘密」を漏らさないという体質を持っている。秘密保護法がなくても、公務員から秘密を聞き出そうとするのは大変だ。「えっ、そんなことも隠すの」と言うことも多い。ボクも新聞記者時代、身を持って感じてきた。それが秘密保護法で罰則強化となれば、隠ぺい体質に拍車がかかる事は目に見えている。各省庁・各局・各部門に不利な情報はまず国民の元には届かないだろう。そういう意味でも民主主義にとっては脅威だ

もうひとつ、国民には付和雷同というか、上に逆らわないという気質が折にふれて見られる。例えば個人情報保護法がある。個人情報保護法を盾に、卒業生名簿や卒業アルバムも作れない学校が増えている。住所や顔写真が「個人情報になる」と言って掲載がいやなら、その人だけ外せばいいはずだが、生徒や親達が今度は「差別だ」と騒ぐ。名簿やアルバムも作れないというのは異常と思うが、それがまかり通る時代になっているのだ。

秘密保護法についても同じような動き国民側からも出てくる可能性はある。政府の政策や方針に反対する人達白い目で見られるようになるのではないか。ボクは秘密保護法には反対だが、それは冒頭に書いたように国民の知る権利疎外され、報道の自由危うくなる恐れがあるからだ。

話は代わるが、このコラムも450回目を迎えた。400回に達したとき、「これで廃業」と思ったのに、またもや惰性で続けてしまった。コケボウ、ヤッコダコ、S姉さんと、歴代の担当者も我慢強く付き合ってくれたものだ。とりあえずお礼だけは言っておこう。

S姉さんのひとこと

「特定秘密保護法案」ですか。
法案の成立に関しては、「特定秘密保護法案」に限らず、国会の日程ありきで議論するのではなくて、国民が納得するよう十分な時間をかけて、慎重に議論をしてほしいものです。

ところで、このコラムももう450回でしたか!
始まって8年以上、長いようであっという間でしたね!
さ、次は500回目指して頑張りましょう^^