「特別、美味しいコーヒーを飲みに行こう」。先日、友人夫妻に誘われた。ボクは別にコーヒーが嫌いな訳でもないし、社内でもお客さんが来た時などには付き合いで飲むこともよくある。しかし、ワザワザとなると、ついちゅうちょしてしまう。「いやいや、そう言わずにぜひ一度は飲んでもらいたい」と友人は譲らない。なんでもそのコーヒーは事前に予約しないと飲ませてもらえないとか。すでに予約済みという。

と言う訳で友人の車に同乗して出かけた。産業道路をRKKカルチャーセンターまで行き、そこを右折。さらに左折して、小さな喫茶店に着いた。看板には「カフェ・からん」とある。特に変わった店ではない。が、店内に一歩入ると、えもいわれない香ばしいコーヒーの香りが漂っている。

マスターの話を聞いて驚いた。名前をジャコウネココーヒーという。インドネシアのスマトラ島に生息するジャコウネコがコーヒーの実を食べ、排出した糞から消化されていないコーヒー豆を集めて、外側の皮を洗い流す。ジャコウネコはグルメで、完熟した美味しい実しか食べないそうだ。だから排出されたコーヒー豆も最上級のもの。さらに消化過程で微妙な変化が起き、より香りうま味などが生じるらしい。取れる量も少ないから世界中で「幻のコーヒー」と呼ばれ、貴重品扱いされているとか。

もともとはこの島で収穫されたコーヒー豆は全てオランダ人が持ち去り、島民は飲むことができなかった。何とかして飲みたいということで、糞の中に豆があるのを見つけたのが始まりらしい。いわば植民地政策が産みの親というわけか。

日本に輸入されたのは5年前で、わずか50kgしか入ってこない。さらに熊本にくるのは200杯分の5kg。うち、この店が手に入れられるのは55杯分だけ。事前に予約が必要なのは、やむを得ない。さて気になるのはお値段だ。1杯が2,100円。高いのか安いのか、見当もつかない。もっとも東京の一流ホテルでは1杯5,000円といわれているそうだから、決して高くはあるまい

さて、まずカップを鼻の近くに持ってくる。柔らかい、そしてスパイシーな香りがする。味はどうか。普通のコーヒーと変わった味がするわけではない。と思っていたらカカオのような舌触りに、香ばしさが口中にフアーッと広がる。同時に熟成した赤ワインのような深い味が喉越しに感じられる。一挙に飲んではもったいないので、少しずつ味わっていく。飲み終わった後も、随分長い間、唇から鼻のあたりに残り香が漂う。さすが「幻のコーヒー」と言われる所以だ。

お土産に7粒の豆を貰った。買ったら1粒25円相当だそうだ。もったいなかったが、1粒齧ってみた。熟成した苦味が口中に広がった。会社に帰って自慢していたら、ある社員から「糞から取った豆を良く飲めるなあ。私は絶対飲まない」と一蹴された。味覚の鈍い人はこれだから困る。と言いつつも、世間にはそういう人もいるかもしれない。それはそれでいいのだろう。さてS姉さんはどちらだろう。食い意地、飲み意地が張っているからボクと一緒で、感激する方だろう。だからといって奢ってやるわけもない

S姉さんのひとこと

うわぁ~。なんて、おいしそう!
「コピルアク」ですね?噂には聞いたことがあります。ジャコウネコの糞からコーヒー豆を集めて飲んでみるとは、たいした人がいるものだ、と思っていたのですが、なるほど、そういう理由だったのですね。

最初、話を聞いたときは「糞の中から集めたものを飲むなんて」と思いましたが、そんなにおいしいのなら一度飲んでみたいものですね。その、お土産にいただかれた7粒の豆、どうにかならないのかなぁ^^