今年の放送文化基金賞は、全国から寄せられた282件の応募や推薦の中から、16の作品と15の個人やグループなどが選ばれました。ドキュメンタリー部門は81作品から5作品が選出されています。
審査では「批判もあるなかで、内密出産の目的は、何よりも母子共に危険な孤立出産を避けることにある、と語る院長の言葉は重い。女性だけに出産のリスクを負わせる社会であってはならないと強く思わされる。」と評価されました。
受賞にあたって
番組ディレクター
KAB熊本朝日放送 大野健太郎
慈恵病院には予期しない妊娠に悩み、追い詰められた女性たちからのSOSが絶えず寄せられています。約50人の女性がこれまでに内密出産をしました。しかしその一方で、幼い命が奪われてしまう事件は現在も後を絶ちません。
慈恵病院の取り組みには賛否両論ありますが、いま目の前にある命を「制度がないから」という理由で見放してよいものでしょうか。
孤立した女性たちを「無責任だ」と責め続けるだけではこの問題は解決できません。
社会全体が向き合っていかなければならないテーマであり、少しでも多くの方にそのことを考えていただければ幸いです。取材に応じてくださった方々に改めて感謝を申し上げます。