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【特集】くまもと不思議探訪 〜知恵が詰まった熊本の昔ばなし〜

今回のくまもと不思議探訪は、「知恵が詰まった熊本の昔ばなし」。
熊本の民話をご紹介します。

【からいもと盗人】…天草市有明町の民話

むかーしむかし、有明の須子(すじ)というところに太助という船乗りがいました。
太助が仕事で薩摩に行ったとき、取引先の商人の家で、生まれて初めてからいもをご馳走になりました。
「こら舌のとろくっごつうまか!ご主人、このからいもっちゅう作物の苗ば、どうか譲ってもらえんでっしょうか?」
すると商人は、
「からいもは御禁制品でごわす。よそ国の者に渡ったことが知れれば、おいどんの首が飛んでしまいます」
「なんと!そらぁ無理ば申しました」
太助はあきらめて、船出することにしました。すると、見送りに来た商人が、
「太助どん!そのわら包みは、おまはんの忘れ物ではごわせんか」
と砂の上を指して叫びました。
太助は、急いでわら包みをかかえて船にとび乗ると、わら包みの中にはからいもの苗が覗いていました。
「ご主人、ほんなこてありがとうございます」
家に戻った太助は、さっそくからいもの苗を畑に植えてみました。
やがてつるが伸びて畑いっぱいに広がりましたが、いつになっても花は咲きません。
そして秋になり、葉が枯れかかって来ました。
「どぎゃんこつじゃろか。とうとう実もならんじゃったばい」
そんなある日のこと。ひとりの盗人が忍び足で畑に近づいて来ました。
「なんか珍しか物ば作っとるね。いっちょ盗んでやろう」
「こらっ〜!なんばしよっとか〜!」
ちょうど見回りに来た太助が叫びました。
盗人は驚いて、つるに足を取られながら、這い回って逃げて行きました。
「ひどか奴もおるもんじゃ。畑ばめちゃめちゃにしてから。ん?あれ?」
太助が見たのは、つるの先になったたくさんのカライモでした。
「なんと!カライモは土ん中になるもんだったとか」
それから天草ではどこの家でもカライモを作るようになったそうです。

【問題】
からいもの原産地は次のうちどこでしょうか?
A 中国 B スペイン C メキシコ

正解は… Cのメキシコ。
元々、メキシコや中央アメリカで作られていたそうです。
日本にやってきたのは16世紀ごろ。
中国から琉球へ伝わったので、唐(から)からやってきた芋「からいも」となり、そこから薩摩へと伝わり、サツマイモという呼び方が定着しました。

【彦一と大石】「ふるさと百話 総集編」より

むかーしむかし、土砂崩れで大きな石が道を塞いで、村人たちが困り果てていました。
そこに、力が強そうな旅人が通りかかったので、村人たちは旅人に力を貸して欲しいと頼みました。
すると…
「オラ腹の減っとるけん、飯ば食わせてくるんなら、その石ば運んでやってもよかよ」
「ほんなこつね!」
村人たちは、旅人がお腹いっぱいになるまで、ご馳走してあげました。
「さあ、腹いっぱいになったやろ? 約束通り、石ばどかしてはいよ」
「よし、なら石ば運んでやるけん、アンタどんがおるが背中に石ば乗せちくり」
「は?それができんけん頼みよっとだろたい!」
村人は怒って文句をいいましたが、旅人は開き直っています。
「背中に乗せんことには運ばれんばいたー !ベロベロベー」
「おっさん!ちょっと待ちなはり!」
そこに現れたのは、とんち自慢の彦一でした。
「アンタたち、石の隣に大きか穴ば掘ってはいよ」
彦一は、村人たちに穴を掘らせると…
「おっさん、こん穴にアンタ入んなっせ。上からこん石ば転ばして背中に乗せちやっけん」
「ヒィーッ」
旅人は震え上がり、村人たちに謝ったあと、お金まで払って逃げて行きました。
村人たちはみんなで石を穴に転がし、道を平らに片付けて 喜んだということです。

【鏡騒動】荒木精之「肥後の民話」

むかーしむかし、山奥の村に住んでいた男が生まれて初めて、城下見物にやってきました。
男は村に残してきた女房のために、くしとかんざしを買ったあと、道具屋に立ち寄ります。
そこで、一枚の鏡を見つけた男は、鏡を覗き込みこう言いました。
「とっつぁま、こぎゃんところにおったとか…」
男は、鏡という物を見るのがはじめてで、自分の顔が死んだ父親に似ていることも知らなかったので、父親が鏡の中にいると思い込んだのです。
男は大喜びして鏡を買うと村へと帰って行きました。
家に帰った男は最初、女房に鏡を見せて喜ばせてあげようと思っていましたが、考え直しました。 「このとっつぁまは、おるがとっつぁまであって、かあちゃんのとっつぁまじゃあなか。 自分のとっつぁまがおらんとなると、かあちゃんはさびしか思いばすっかもしれんなぁ」
こうして男は、鏡をタンスの中に隠すことにしたのです。
しばらく経ったある日… タンスに向かって嬉しそうに話しかける男を見た女房は、夫の行動を怪しいと思い、男がいないときに、こっそりタンスを開けて覗いてみました。
すると… そこには、自分と同じ櫛とかんざしをした若い女が覗いているではありませんか。
「アンタ!私という女房がありながら、タンスに隠しとるこんおなごは誰ね〜!?」
「おなごなんか隠しとらん!そら誤解ばい」
女房の怒りは収まらず、尼さんを呼んで真相を確かめることになりました。
「おや、まあ」
尼さんは、箪笥の中をのぞき込んでこう言いました。
「確かに中に女がおったばってん、頭を丸めて反省しとらすごたるし、見た感じ、男衆には縁はなかでしょう」
こうして夫婦喧嘩は収まったとのことです。 鏡を知らない村人たちが起こした鏡騒動でした。

【問題】
頭の先からつま先まで、全身が見える鏡を作りたいのですが、全身を映すために必要な鏡の大きさは次のうちどれでしょうか?
A 自分の身長と同じ大きさ B 身長の半分の大きさ C どんな大きさでも良い

正解は… B、身長の半分の大きさ。

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