
北海道や東北を中心にクマの被害が後を絶ちません。一方で、九州にはクマはいないと言われていますが、本当にクマが現れることはないのでしょうか?
環境省が「絶滅宣言」
九州のクマは、環境省が2012年に「絶滅」を宣言し、いないとされています。
クマの生態に詳しい森林総合研究所九州支所の安田雅俊さんによると、かつてクマの毛皮や肉、薬にもなる内臓を求めて、狩りが行われ、雪が少ない九州では冬眠中の捕獲がしやすかったため、過剰な狩猟で絶滅したと考えられるということです。
一方で、九州の隣、山口県では、目撃情報が相次いでいて、先週末には対策訓練が開催されるほど。

山口県の下関市と福岡県の北九州市。海をはさんだその距離は、わずか600メートルから700メートルで、クマが泳いでやってくることはないのでしょうか?
まちの声
「橋があるから来ないのかな。関門海峡、大きな橋があるから、来ないのかな?みたいな感じ」
「関門海峡を渡って来ないでほしいと思っています」
九州でクマと対峙した際に備えている人も。
「逃げるときは、後ろ向かないで、こうやって…(後ろから来たら?)伏せる」

安田さんは、短距離であれば泳いで渡ってくる可能性はあるが、1頭が渡ってきたところで、増えることはないし、仮に複数で渡ってきても、繁殖するには、相当、時間がかかるとします。
また、四国にもクマはいますが、数十頭レベルで、生息地も海から遠いため、渡ってくる可能性はないとしています。
野生生物との共生 熊本でも課題
クマの危険性は九州にはない一方で、野生生物との共生では、熊本も大きな課題を抱えています。
「常に(仕掛け罠を)2個は車に積んで、被害の依頼があった時にすぐに罠を仕掛けられる状態にしている」
そう語るのは、狩猟歴50年以上のベテランで、熊本県猟友会の髙橋重徳会長。
「イノシシは横ばいですが、シカはかなり毎年、毎年、増えている」

県猟友会によると、2024年度のシカの捕獲数は1812頭だったのに対し、2025年度は10月末までの7カ月間で1508頭と、昨年度を上回るペースだといいます。
「なかなか追いつかない。とってもとっても減らない」

クマの被害をめぐって、全国的に課題となっているのがハンター不足。県猟友会でもハンターは少なく、45歳以下の会員でつくる青年部を12月に立ち上げ、若手のハンターを増やしたいとしています。












