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2025年11月23日 23:30
「軍国主義の再燃許さず」高市総理に中国猛反発の背景 台湾めぐる日中50年超の歴史

南アフリカで行われているG20の首脳会議に参加している高市総理。台湾有事をめぐる発言に対する中国の反発は、どこまでエスカレートするのでしょうか。中国、そして習近平主席にとって台湾とはどんな存在なのかを53年前の映像から紐解いていきます。

■高市総理 中国首相 との接触は?

きょう23日もG20の会合で同席した中国の李強首相と高市総理。 李強首相のスピーチを真剣な表情で聞き入り…終わると拍手を送ります。 そして、高市総理のスピーチ直前には…李強首相の席に別の人物が…途中で席を立っていたようです。 きょうも直接話をする機会はなかったとみられます。

一方、中国はG20の場でも… 「南アフリカは『一つの中国』政策の堅持を強調した。」 中国外務省は、南アフリカの大統領が李強氏との会談で「台湾は中国の領土の不可分の一部」であると強調した、と発表しています。 さらに中国の王毅外相は、訪問先のタジキスタンでの外相会談で… 「日本の右翼勢力が歴史を逆行させること、外部勢力による台湾への干渉、そして日本の軍国主義が再燃することを決して許しません」と日本を名指しで批判しています。 高圧的な“戦狼外交”を続ける中国。なぜ、ここまで高市総理の発言に反発しているのでしょうか?

■高市氏に中国猛反発“台湾問題”の歴史

中国外務省の報道官はSNSで、「日本国政府は中華人民共和国政府が中国の唯一の合法政府であることを承認する」とした“日中共同声明”に触れた上で、「総理大臣が誰であっても日本は承諾を守るべきだ」と投稿しています。 日中共同声明が出されたのは今から53年前の1972年のこと。 (田中角栄 総理大臣(当時))「両国は地理的に近いのみならず、実に2000年にわたる多彩な交流を持っております」 当時の田中角栄総理が、中国の周恩来首相と共同声明に調印し、国交正常化が実現します。 (田中角栄 総理大臣(当時))「日中国交正常化は日中両国民長い間の願いであり、アジアの平和の基礎を作るものであります。」 一方、これによりそれまで国交があった台湾とは断交。帰国後、党内の台湾を支持する議員から厳しい追及を受けます。 (田中角栄 総理大臣(当時))「党の皆さんが政府に与えた枠をそのまま守ったか、という問題が一点残っていると思います。私はしかし、最終的な決断を行うにあたっては、可能な限り最大の努力を傾けたつもりでございます。」 共同声明には台湾について、「中国の領土の不可分の一部」であるとする中国政府の立場について、日本政府は「十分理解し、尊重する」と記されています。 この表現について専門家は… (神田外語大学 興梠一郎 教授)「『理解して尊重』ですから『承認』してないんですよ。要するに承認って言ってないんですよ、法的に。中国はそこは嫌なんです。台湾とは断交したけれどもギリギリのところで歯止めをかけているわけですよ。(中国は)それがずっと気になっているんですよ」

■中国猛反発開始は習近平氏の指示?

「中華民族の偉大な復興」をスローガンに掲げている習近平主席。 台湾については「決して武力行使の放棄はしない」「祖国の完全な統一は必ず実現できる」と述べています。 (習近平国家主席)「中華民族の偉大な復興は止められません。人類の平和と発展の崇高な事業は必ず勝利します」 今回、高市総理の台湾有事をめぐる発言があったのは7日。しかし、中国側が批判のトーンを一気に高めたのは6日後の13日でした。 (中国外務省報道官)「中国人民が血と肉で築いた鋼鉄の長城を前に、頭を割られ血まみれになる」 なぜこの日だったのか? 実は13日の夜、中国外務省は日本の特命全権大使を「上からの指示」で呼び出したと発表しています。 (神田外語大学 興梠一郎 教授)「指示を奉る、奉納するの『奉』に、指示の『示』ですね、これは今まで使ったことないんですよ。これはつまりトップ(習主席)から来ている。これをきっかけにどういうことをやろうとしているかというと、もう二度と台湾問題に口を出させないということです。国会答弁であれ何であれ、だからここは徹底的に批判して、名指しで批判してますよ。いろんな風刺画を出したりして、日本側にこの問題に触れるとこうなるぞということを見せているわけです。」 いざという時、後ろ盾となり得るアメリカと日本を台湾から引き離す情報戦に出ているといいます。 (神田外語大学 興梠一郎 教授)「今後(日本の)台湾問題での発言をある程度、制限させる。そうすると台湾の中の世論が変わってくる。日本はいざとなったら来てくれるんだっていうのがなくなっていくと。アメリカは元々(台湾を守ると)言わないけど、じゃあいざとなったら誰も来てくれないんだったら中国と握手するしかないね。これはもう中国と仲良くするしかないよねってなっていくと」

■小泉大臣 台湾有事“最前線”を訪問

「この島の名前は与那国」 「やっぱりあったか。」 “台湾有事”をめぐり日中間に緊張が高まる中、小泉防衛大臣はきょう23日、その最前線となる石垣島や与那国島を訪問しました。 台湾からわずか100kmほどの与那国島には、ミサイル部隊の配備計画があります。 Q.与那国島にミサイル部隊を配備することで地域の緊張を高めることにならないか? (小泉進次郎 防衛大臣)「こちらは島の安全を守るための部隊であり、配備によってわが国への武力攻撃そのものの可能性を低下させることができると考えており、地域の緊張を高めることになるというご指摘は当たらないものと考えています。」 Q.台湾有事の際、国内でも最も影響を受ける地域になるが、今回このタイミングで部隊視察した理由は? 「台湾有事という仮定を前提においたご質問についてはお答えすることは差し控えたい。」

11月23日『有働Times』より