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2026年3月5日 17:47
俳優ひき逃げ 本番控え悲劇 ホステス送迎の男に判決

 去年10月に起きた死亡ひき逃げ事件。夢半ばで命を奪われたのは俳優の女性でした。居眠りをして事故を起こし、そのまま逃げたという運転手の男。今月5日、判決が言い渡されました。

■俳優ひき逃げ 本番控え悲劇

 黄色い衣装を身に着け、ポーズを取る女性。別の写真では全く違う印象のスーツ姿で舞台に立ちます。

 東京の劇団に所属していた俳優の高橋智子さん(39)です。舞台を中心に活躍する一方、テレビドラマにも出演していました。

 1週間後に舞台の本番を控えた去年10月。

目撃者からの通報 「歩道に人が倒れている。車の跡がある」

 高橋さんは東京・練馬区の路上でひき逃げに遭い、その後、病院で息を引き取りました。

 防犯カメラなどの捜査から、その日のうちに男が逮捕されます。東京・立川市に住む西潟一慶被告(当時38)でした。

 当時、警察の調べに対して「居眠り運転をしていた」と供述していました。

 西潟被告は東京・新宿区内を乗用車で走行。時刻は午前2時をすぎ、眠気を感じてウトウトしながらも運転をやめることなく、時速60キロメートルで走り続けたといいます。

 そして約20分後、東京・練馬区の路上で自転車で前を走っていた高橋さんに衝突し、そのまま走り去ったということです。

 当時は雨。目撃者によりますと、高橋さんは頭から血を流すなどして倒れていたということです。

 病院に搬送されましたが、頭蓋骨骨折などでその後、死亡が確認されました。

 逮捕された時、西潟被告からは酒も薬物も検出されませんでした。

 西潟被告は事故当時、警察に対して居眠り運転をしていて、気が付いたら何かにぶつかっていましたが、それが人だとは思いませんでした」と容疑を一部否認しています。

 また、こうも話しています。

西潟被告 「仕事で人の送迎をしていた」

 キャバクラ店の送迎担当をしていた西潟被告は事故当日もキャバクラの店員4人を車に乗せ、運転していたということです。

 この事件の捜査をしている過程で、西潟被告の行為が白タク行為である疑いが浮上。白タク行為をさせていたとして会社の元代表が今年1月に逮捕されました。

 この元代表は12のキャバクラ店と送迎を行う契約をしていたといいます。

 39歳で亡くなった高橋さん。北海道から上京し、東京の劇団に所属していました。プロフィールには趣味は読書と舞台鑑賞、絵を描くことと書かれています。事故の約1週間後には舞台への出演が控えていました。

 高橋さんは他の団員とともに稽古を続けていました。かなわなかった舞台への出演。早すぎる死に、所属していた劇団は…。

碗プロダクション 「高橋智子は弊社創立メンバーとして精力的に活動をしてくれておりました。責任感も強く情にも厚く、皆に愛されていました。彼女の残してくれた功績に心より感謝申し上げます」

■「厳しく非難」男の判決は

 事件から5カ月が経った今月5日が判決の日です。黒のスーツにグレーのネクタイを着けて法廷に現れた西潟被告は、白いマスクを着けて憔悴(しょうすい)した様子でした。

 検察官の後ろには衝立があり、その後ろには高橋さんの親族の姿がありました。女性が「大丈夫、大丈夫」と話す声も…。

 そして、下された判決は…。

裁判官 「被告は拘禁刑3年に処する。被害者の両親がその悲痛な心情を述べ、被告人に対する厳罰を求めているのも当然である。しかも被告人は被害者の救護をすることもなく逃走しており、その意思決定は厳しく非難される。被告人の刑事責任は重く、実刑を選択するほかない」

 一方で、裁判官は西潟被告に前科がなく犯行を認め、遺族に謝罪していることなどから拘禁刑3年が相当としました。