
7月28日に発生したマグニチュード7.1の「2026年熊本地震」。最大震度7を宇城市と氷川町で観測しました。
氷川町の道の駅の駐車場には大きな亀裂。
(道の駅管理人)「この亀裂が、バキバキバキという音を聞きながら、揺れまくるという状況にありました」
宇城市豊野町の住宅の敷地には、地割れが出現しました。
(住民)「日奈久断層が通っているというのは聞いてました。さすがに今回は、この地割れと家を見たら、もう住めないですよね…。怖いもん」
大きな揺れに襲われた地域のいたるところで、地表に変化が現れています。
「地表のズレを確認して、今回の地震の犯人が何かをしっかり確認するというのは、非常に重要なんです」
そう語るのは、地震発生後、現地調査に入った東北大学災害科学国際研究所の遠田晋次教授。3年前のインタビューで次のように指摘していました。

「2016年4月14日の最初の地震、マグニチュード6.5程度というのは、ひずみを解消するというよりも、刺激するような地震。むしろ、ひずみが熊本地震によって、さらに蓄積されたという見方をしています」(2023年取材時)
予見されていた地震の発生

2度、震度7の揺れが発生した10年前の「2016年熊本地震」。前震は日奈久断層帯、本震は布田川断層帯がずれ動き、発生したとされています。
日奈久断層帯は、熊本県内を北東から南西方向にのびる長さ約80キロの断層帯。10年前の地震で、北東部の「高野ー白旗区間」が動きました。今回の2026年熊本地震では、その南側にあたる「日奈久区間」の一部が動いたとみられています。

政府の地震調査研究推進本部の長期評価で、今回動いた「日奈久区間」の30年以内の地震の発生確率は6%とされていました。発生確率3%以上はSランク。最も警戒すべき活断層のひとつと位置づけられていました。

また、地域性による問題も。熊本大学の鳥井真之特任准教授は、八代地域での被害について警鐘を鳴らしていました。
「震度6強も十分に考えられるところですので、日奈久断層の影響によって、八代平野全体が強い振動を受けると、場合によっては液状化を起こすところが広いかなと。断層のすぐ近くの道路は、使えなくなる可能性が高いことを想定したほうがいい」(2024年取材時)

7月28日の地震で、八代市は震度6強を観測。断層に沿うように走る高速道路は甚大な被害を受け、通行止めを余儀なくされています。

また、干拓地である八代市では各地で液状化が発生しました。
80㎞のうち動いたのは30㎞…

今回の地震を受けて、現地に入った東北大学の遠田教授。
「(10年前の)熊本地震のしわ寄せがこちらにいってるんで、“割れ残り”という表現も使われますけども、そのしわ寄せがいって、ひずみが伝わって伝播して、こっちが動いたということです」
地震の揺れの長さも、動く断層の長さによって変わるそうです。2011年の東日本大震災では、約500キロにおよぶ断層が動いたとされています
「3.11では、宮城県沖からずれが始まったのが、500キロ全部ずれを伝播して3分ぐらいかかるんですね。だから、3.11のときには、揺れが3分ぐらい続いたと。ずれる速度は毎秒2キロくらいと言われています」
遠田教授によると、今回の2026年熊本地震で動いたのは、約30キロ。
「30キロの断層を毎秒2キロで割ると、15秒くらいと計算できる。だから15秒くらい揺れていたということですね」

一方で、約80キロある日奈久断層帯のうち、動いていない区間は約50キロ。
「南の断層は動いていない。だから、逆に言えば、また、そっちにしわ寄せがいってるんで、次そっちで大きな地震が起きる可能性はある」
今回動いたと見られる日奈久区間よりも南は「八代海区間」と呼ばれています。30年以内の発生確率は16%、格段に高い数値です。
「八代海区間」いつ動くのか
熊本大学の鳥井特任准教授も、今回の地震によって、八代海区間が動く確率は、さらに高まっているとみています。

「日奈久区間の北半分ぐらいが今回動きました。南の方はゆがみが解消されておらず、ひずみの位置がだんだん南に移動してきていて、非常に警戒すべき状況。南側に力がかかる状況になっています」
現段階で、八代市の球磨川周辺までは断層の割れが確認されていて、その南では、確認されていないといいます。
仮に、その南側が動くとなれば、懸念されるのが津波のリスクです。
「今回、南に行くにしたがって、縦方向の変位が大きいことが分かりつつあります。海の中で縦方向に大きく変位すると、海水の移動が大きくなり、津波を発生させるリスクは高くなっている」
なお、八代海区間で想定されているマグニチュードは、今回の地震と同程度の7.3です。(地震本部)
「2016年熊本地震から10年目にくるとは、誰もわからなかった。八代海区間がいつ動くのかは正直言って、難しい。10年後か100年後か、明日かわからないが、起こりうることを頭においてほしい」
リスクが高いことを念頭に置いて、行政も、住民も、備える必要があります。
(8月5日放送「KAB報道特別番組」より)













