台風25号が近付いていますが、改めて振り返るべき教訓があります。13人が犠牲となった千葉豪雨から1カ月が経ちました。ANNが入手した5つの記録を重ね合わせ、都市部が水に沈んだ恐怖の10時間を時系列で振り返ります。
■都市が水没 時系列でたどる千葉豪雨10時間
8月13日、お盆期間中の千葉県を襲った記録的な豪雨は13人もの命を奪いました。“いつもの大雨”が“大規模水害”に変わった時、現場では一体何が起きていたのか。気象情報、119番通報、SNSの投稿、人の流れ、そしてANNのカメラが捉えた映像。5つの記録を重ね、都市部が水に沈んだ10時間を時系列でたどります。
この日、千葉県は朝から雨が降っていました。様相が変わったのは午後5時ごろ。雨雲レーダーでは千葉市周辺にもピンク色の表示が広がり始めました。
そして午後5時56分、消防に、雨に関する最初の119番通報が入ります。内容は、千葉市中央区ですでに道路の冠水が始まっていることを伝えるものでした。
その2分後には線状降水帯が発生。同じころ、気象庁がレベル4「土砂災害危険警報」を発表し、千葉市は災害対策本部を設置します。
SNS上には、経験したことのない大雨に戸惑う人々の姿が次々と投稿され始めます。
行き場を失った大量の雨水がアスファルトを押し上げ、道路が波打つようにうねっていました。
さらに、ターミナル駅である千葉駅でも、総武線ホームの天井から滝のような雨水が激しく流れ落ちています。
これは、千葉市消防局に寄せられた豪雨関連の119番通報を1時間ごとに集計したものです。その推移を見てみると、通報のピークは午後6時台にあることが分かります。およそ1分に1件という猛烈なペースで通報が相次ぎ、その9割以上が道路の冠水や住宅の浸水を訴えるものでした。
レベル4「大雨危険警報」が発表された時刻に、水は街のあらゆる場所で同時にあふれ出します。
午後6時15分、千葉駅前の商業施設では冠水した道路から水が流れ込み、地下へ続く階段を濁流となって下っていきます。
ANNのカメラマンが千葉市で捉えた最初の映像です。傘が役に立たないほどの猛烈な暴風雨のなか、すでに膝下まで冠水した道路を、足を取られながら歩く人の姿がありました。
この直後、都市部の排水機能を上回る雨が牙をむき始めます。
午後7時、川があふれる前に街に水がたまる「内水氾濫」が人々の生活をのみ込んでいきました。
すでに止まっていた内房線・外房線に加え、総武本線と成田線などが運転を見合わせます。
午後7時30分には、最も危険度が高いレベル5「大雨特別警報」が発表されました。帰宅ラッシュの時間帯に、数万人の足が一瞬にして奪われました。
千葉県は県庁を一時滞在施設として開放し、行き場を失った帰宅困難者を急きょ受け入れました。
「駅で待っていたが、全然(雨が)やまないので避難所に来た」 「普通の雨かなと折りたたみ傘を持っていた。普通かなと思ったら急にこんな感じに」
多くの予想を遥かに超える大雨。この後、夜の闇とともに、危険はその姿を変えていきます。
午後8時58分、2回目の線状降水帯が発生。このころ“ある異変”が起きていました。
消防への119番通報の件数を見てみると、浸水や冠水の通報がやや落ち着いた午後8時以降から、日付が変わるころまでに別の通報が増えていることが分かります。「車の水没」です。
午後9時すぎ、千葉駅前のアンダーパスでは車が完全に水没し、屋根すら見えなくなっていました。このように、冠水した道路に誤って侵入し、身動きが取れなくなる車が市内で続出していたのです。
午後9時55分、レベル5「土砂災害特別警報」も発表されます。
110番通報の音声 ※のちに自力で脱出 「助けて下さい!車が水にこうやって…車に閉じ込められちゃって、水が今全部入ってきまして、いすの上に今、乗っています」
車だけでなく、移動手段を失った人たちは翌朝にかけて、普段とは違う行動を余儀なくされます。千葉駅周辺にいた人のスマートフォンから得た位置情報をデータ化してみると…。
Agoop 技術戦略室 上山宏さん 「一番顕著に分かるのは深夜帯。豪雨当日の方が(平時と比べて)人流が多い」
前の週の同じ時間帯に比べて、圧倒的に多くの人が深夜帯まで現場にとどまり続けていたことが分かります。
また、終電の時間を過ぎても身動きが取れなくなった人々が、ようやく雨のピークが過ぎ、少し小降りになったこともあり、線路沿いや冠水した道路を徒歩で移動しようとする足取りがはっきりと残されていました。
午前2時30分、千葉市中央区の川沿いに設置された防犯カメラの映像です。未明になって、冠水していた水が一気に引いていくのが分かります。
しかし、夜が明けて見えてきたのは、変わり果てた街の姿でした。
「雨がすごいので家から出られなかった。ここまでひどいんだという、結構衝撃でした。どこから手を付けていいか分からない」 「線状降水帯ってこんなにすごいって…初めて感じました」
千葉市で24時間に降った雨の量は367.0ミリ。命の危険が迫っていることを示すレベル5「大雨特別警報」が22市町、レベル5「土砂災害特別警報」が6市に発表されました。この2つが同時に発表されたのは初めてのことです。
県内でこれまでに確認された被害は死者13人、全壊した住宅14軒、床上・床下浸水など、その他、住宅被害7028軒に上ります。
内閣府防災担当 赤間二郎前大臣 「内水氾濫、都市型水害、これらの被害を踏まえて、その要因、課題について検証を行うとともに、被害の軽減に向けた方策について幅広くご議論をいただきたい」
想定外の被害を出した今回の豪雨を受けて、政府は新たに対策をまとめ、ガイドラインの見直しなどを進める方針です。









