ついに日食を見た。部分日食とはいえ、9割がた太陽が欠けるのは46年ぶりとか。朝から楽しみにしていたが、厚い雲に覆われ、絶望的な状況だった。それでもあきらめきれずに、10時過ぎから空を仰いだ。そのうち雲が流れ、薄雲の彼方に太陽が見え始めた。なんとバッチリ部分日食が現れた。

靴下を使って日食観測をする門垣会長雲が薄いと、まぶしくてよく見えない。いろいろ考えて、靴下を脱いで、目の前にかざしてみた。これだとまぶしさが消えて、はっきり見える。多少は臭い気もしたが、それくらい我慢しないと。一時は太陽の周りに七色の虹も出てきた。雨上がりに出る虹と違って丸く円状に見える。自然の作り出す美しさに陶然となる。欠ける部分が次第に大きくなり、三日月形から繊月形へと移っていく。周囲は夕方のように薄暗くなり、これまでの蒸し暑さがなくなり、さわやかさも感じられるようになった。

KAB3階のテラスには社員たちが集まってきた。みんな職場放棄で はないか。かくいうボクだって、仕事を放り投げてきたのだから、叱るわけにはいかない。なかには観測めがね持参の社員もいる。あちこちで「わあー」とか 「すごーい」とか歓声もあがる。ほとんどの社員たちはしばらくすると、職場に引き上げていった。しかし、ボクだけは最初から一人になっても、ずつと観察し 続けた。

前回の日食のときは学生だったが、全く記憶にない。小学生のころ、ガラスの破片にロウソクの油煙をつけて、日食を見た記憶はある。そのときは部分日食だったのだろう。人間の記憶なんてあいまいなものだ。

次の皆既日食が見られるのは26年後だとか。その時、ボクは○○歳で、絶対に生きていない。社員たちは、長生きすれば、ひょっとしたら見る機会があるかもしれない。でもボクの場合は絶望的だ。したがって社員たちより、長く見ていなければという気になったのだ。いわば生涯最後の日食経験となるのだ。

日食を見ているうちに、なんとなく最近のKAB社内の雰囲気というか空気というか、同じものを感じた。これはなんだろう。いろいろ考えているうちに、ハタと思い当った。ボクはKAB社内で太陽的存在だった。女性運動先駆者の平塚らいてうは「元始女性は太陽であった」といったが、この表現を借りると「3代目社長は太陽であった」というわけだ。ボクは冗談をいっているのではない。社員たちは同意しないかもしれないが、それはどうでもいい。

しかし、ボクが社長を退いたことで、「KABの太陽」は皆既日食並になってしまった。どうりで社内は薄暗く、空気もひんやりとしてきたわけだ。しかも社内の日食は、これからもずっと続くのだ。社員たちには気の毒だが、一種の自然現象だから、どうしようもない。諦めて、慣れてもらうしかない。

念のために言っておくが、ボクは社長の座に戻ることを希望しているわけではない。植田社長新しい太陽になってもらうことを期待している。でも素質などからいっても、まあ、無理だろうなあ。あっ、つい本音を言ってしまった。

コケボウのひとこと

みなさん、なかなか見ることの出来ない天体ショーはいかがでしたか?
熊本でも、かなりはっきり見えたようですね。
ここのフロアーのメンバーも、次の日食が26年後という話をしつつ「私は次も見られるけど、部長はどうかな?局長はスレスレ?」などと、まさにKABの社員らしい毒を吐きつつ、観測に出て行きました。
ワタシは・・・と申しますと、このあたりのことさほど興味もなく、電話番を買ってでて席におりました。
室内にいても、やっぱりなんとなく薄暗いのは感じられ、ここ数日来雨による高校野球の順延で、天気にナーバスになっているものですから、雨雲じゃないでしょうね、と何度か窓の側によってみましたが、空は青くダイヤモンドリングを見ずとも日食は感じられました。
会長はかなり早くからスタンバイしていたらしく、誰よりも日食にはしゃいでいたようです。
そんなにムキにならなくても、憎まれっ子世にナントカと言いますし、会長なら次の日食も見られると思いますがね。
さて、太陽を肉眼で直視するとよくない、という話は広く知られた話で、我が編成業務局長は、私たちのために?日食グラスなるものまで用意してくださいました。
(実際は、出張中の局長の席に置いてあった物を勝手に拝借したのですが)
そんな中、会長が何で太陽を見ているか・・・写真でおわかりいただけますか?
実は会長が手にしているのは「靴下」素足なのは、お気づきいただけます?
いくら靴下が黒いからって、それをかざして日食が観測できるとは到底思えないのですが、本人は「きれーに見えた」と言い張っております。
日食を靴下で見ようという明るさは、まさに「太陽」かもしれませんね。
最近は、その上いく新社長の明るさと相まって、社内はまぶしいばかりです。
この暗い世の中、我が社のようなお貧乏な会社の社長に就くことができる一番の資質は「明るいこと」かもしれませんね。
よいこのみなさん、靴下は履くもので、かざすものではありませんよ。
真似しないようにね。