このコラムも、あと1回となった。残り少なくなると、あれも書いておけばよかった、これも不十分だったなどの反省や心残りも生じてくる。誤解ないように言っておくが、このことを理由にしてコラムの延長を狙っているわけではない。もはや読者の気持ちも離れているようで、引退するのにいい潮時だ。
さて気になる一つは、日本がどちらに行くのかということだ。安倍政権が次々打ち出す政策は明らかにある方向を指し示している。集団的自衛権、特定秘密保護法、憲法改正の動き、オスプレイの配置など、その根底にあるのは戦前回帰ではないのか。かってボクが自民党を担当していた時代にもタカ派の中には似たような動きはあったが、ハト派の反対で抑え込まれ、表立って騒ぎになることはなかった。
それがいまや一党独裁ならぬ一派独裁化している。安倍政権に楯突く派閥は表立ってなくなった。その原因はやはり小選挙区制にあると思う。かっては中選挙区制で、ひとつの選挙区から複数の自民党候補者が立候補できたが、いまや1選挙区に1人。公認権を政権派閥に握られて、うかつに反政権運動でも起こそうものなら、公認も覚束なくなる。もちろん野党側の在り方も問題だ。四分五裂して抵抗勢力としての糾合もままならない。衆参両院とも過半数割れの状況では歯止めにならないことは分かっているが、世論の喚起を促すなど、それなりの方途もあろう。
二つ目は経済・景気の動向だ。アベノミクス効果で景気は上昇機運にあるようだが、果たしてそうか。大都市部では確かにそうした側面もみられる。しかし、地方都市や農山漁村ではどうか。全国では東京一極集中、九州では福岡一極集中、県内ではそんなに顕著ではないが、やはり熊本市集中がみられる。特定地域の傾斜成長が顕著になっているのだ。そうでない地方は空洞化に拍車がかかっている。人口減に空き店舗も目立つ。
ひどいのは農山漁村だ。高齢化に後継者不足が目に余ってきた。耕作放置が増え、田畑は荒れ果てていく。法人化で耕作地を集約し、大型農業を目指す方向もあるが、都市部の周辺はともかく、細分化された耕作地の多い地方はそれも無理だ。漁村では出漁できない漁船も少なくない。なんの手だても提示されないまま、過疎化に拍車がかかり、荒れ果てていくだろう。
もうひとつ。目に余るような殺人事件が横行している。肉親同士から友人、知人はもちろん行きずりの殺人もある。人の命がこれほど軽視された時代はない。家庭環境、子供の教育、道徳の欠如など、原因はいろいろ考えられる。これまた決め手に欠くのも事実だろう。世はまさに世紀末現象といってもいいくらいだ。いまこそ根底から共通する原因を探りだし、早急に世間が一丸となって取り組むべきだ。必ずしも政治の問題とまでは思わないが、手遅れにならないうちに手を打つべきだ。
なんてこともあれこれ考える。コラムが終わった後も、KABとは関係のない場で、いろんな意見を表明していきたい。これからは一社会人としての責務だろう。やはりボクはクソ真面目だなあ。

日本の未来に重要な決議が、次々と、さしたる議論もなくなされていくことに不安を覚え、経済の行方を憂え、陰惨な事件に眉をひそめる…。
果たして、日本はどこへ行くのでしょうか。
個人レベルでどうしたらいいのか、途方に暮れるばかりですが、そうですね。
見過ごしていくのではなく、発信することが大事なのですね。
500回をもって終了となる特別顧問のコラムも、残すところあと1回となってしまいました。
今後もどこかで発信されることを楽しみにしています。
その前に、残り1回、来週もよろしくお願いいたします^^