仮住まいを続ける1%。その生活再建の鍵をにぎる公共事業が益城町で進む区画整理事業です。
熊本地震から間もなく5年、より良い町づくりを進める計画に揺れる住民の思いを伝えます。
熊本県益城復興事務所 高橋慶彦所長
「地震時には狭い道路に家が倒れかかったりして救援とか支援するにも不都合だった。(これまでは)公園のような避難場所もなかった今後は地区内に配置して災害に強い街づくりをしている」
益城町の土地区画整理事業。新しい道路を作るために移転を余儀なくされた人もいます。
熊本県益城復興事務所 高橋慶彦所長
「みなさまから減歩という形で土地の提供をお願いしているその結果みなさまが共有して使える道路とか公園とかができます。」
区画整理のために、元々住んでいた場所と、代わりとなる別の土地と交換することを「換地」と言います。県は全体の85%の地権者が、この「換地」に同意しているとしています。しかし、同意に至るまでの経緯は人それぞれです。
古田學さん
「あそこに電柱が立ってるでしょう。あそこからこっちが自宅でした。」
地震で家が全壊した古田さん夫妻。地震から2年目に自宅の再建を目指し建築業者とも契約を結んでいましたが、「建築制限」がかかりました。代わりに県から提示されたのは元の場所から少し離れた土地でした。土地の面積も、以前より20平方メートル狭くなります。
古田さん
「やっぱり、こっちに建てられなかったというのが一番ですよ建てたかったなーって一番は元の場所に家を再建したいとの思いもありましたがそれでも、住宅の再建を急ぎたいと考えました」
地震直後に心臓を患い、手術。さらに去年、ガンが見つかったのです。元の生活に戻りたい。夫婦で残りの人生、落ち着いて生活を送りたい。という思いが勝りました。
古田さん
「あせりはしなかったんですけどもう換地っていう提案がなされたときにそっちのほうが早く立つならそれがいいと」
地震からまもなく5年。
古田さん
「一筋の光が見えたというか二筋くらいまで行きました家を建てるまでの第一歩というのが見えた気がします。」
古田さんの家は、今年の夏、着工となる予定です。土地区画整理事業の完了は2027年度。仮の住まいで生活を続けている人は276人。益城町はまだ、生活再建の途上です。