熊本市のこうのとりのゆりかごの設置からまもなく17年です。慈恵病院の蓮田健院長は7日、会見を開き、取り組みの意義と課題について語りました。
蓮田健院長
「追い詰められた状況の方々がお越しになって、やはり、ゆりかごがなければ、他に頼ることができない人たちが少数ながらいるということを痛感する」
蓮田院長は会見で「昨年度も例年と同じくらいの預け入れがあった」と説明した上で、乳児の遺棄や殺害を防ぐゆりかごの存在意義を改めて強調しました。
また、病院は昨年度、将来、子どもに開示することを前提に承諾を得られた複数の実母から身元情報を預かったということです。
課題となっている子どもの出自を知る権利の保障に向けて、蓮田院長は「お子さんたちが成長するにつれて、出自情報の開示をどうすべきなのか、養育者の方々がどうやってお子さんたちに状況を説明すべきか、そういった整備がこれまでなされていませんでした。ですので、混乱が始まっていると私は感じています」と述べました。
蓮田院長は、これまでに出自情報の開示を求める複数の問い合わせが寄せられていることを明かし、情報の管理や開示手続きを公的機関が担うのが望ましいとの考え方を示しました。