牛舎建設の補助金をめぐる裁判について、熊本県阿蘇市の松嶋和子市長は、28日の市議会で、控訴を取り下げない方針を明らかにしました。
松嶋和子市長
「市民の皆さまの利益のためにも、訴訟を早期に終結させるべきであるという思いはございます」
熊本地裁は、2021年5月、農事組合法人の牛舎の建設に関する国の補助金の交付を独断で取り消したのは違法として、阿蘇市に対して7200万円あまりの賠償を命じました。
判決は確定し、阿蘇市は全額を支払いましたが、佐藤義興前市長に対する損害賠償請求権の行使を阿蘇市が違法に怠っているとして、2022年3月に新たに住民訴訟が起こされました。
熊本地裁は、去年9月、原告の訴えの大部分を認め、阿蘇市に対し佐藤前市長へ8300万円あまりを請求するよう命じ、阿蘇市は判決を不服として控訴しました。
阿蘇市議会には3月、この控訴の取り下げを求める決議案が提出され、賛成多数で可決されていました。
松嶋和子市長
「控訴にかかる訴訟費用だけで695万円を超える公金がすでに支出されており、控訴取り下げによって強制終了とするよりも、福岡高裁の判決結果を仰ぐべきとする、そういう考えの市民も多くいると思われます」
松嶋市長は、28日の市議会全員協議会で方針を示し、控訴の取り下げはせず、福岡高裁の判断を見守るとしました。
松嶋和子市長
「思っていた通りの判決と思う方もいるでしょうし、そうでない方もいると思います。独立した司法権が判断した結果だということが、何よりの説得力を持つと考えています」
なお、憲法や法令の解釈について争いはないとしています。