東京都の賛育会病院が内密出産の受け入れを始めてから1カ月。
原則として、費用は女性に請求する方針です。これに不安を感じた女性からの相談が熊本市の慈恵病院に相次いで寄せられています。
社会福祉法人賛育会
「錦糸町の賛育会病院で、内密出産の受け入れと、匿名による赤ちゃんの預け入れを「いのちのバスケット」として開始する」
3月31日、墨田区の賛育会病院を運営する社会福祉法人は、匿名で生後4週間以内の赤ちゃんを預かる「いのちのバスケット」を設置しました。
また、女性が病院のみに身元を明かして出産する、内密出産の受け入れも開始。費用は原則として女性に請求する方針です。
普通分娩の費用は、一般的に50万円前後。賛育会病院は、経済的な事情を抱えた妊婦の存在を念頭に、支払いの方法や、回数などについて、個別に相談に応じるとしています。
一方、国内で初めて内密出産を導入した、熊本市西区の慈恵病院は、これまで費用の全額を負担してきました。
慈恵病院・蓮田健院長
「東京で内密出産ができると聞いたけれども、お金がないのでどうしたらいいですかという相談が、すでに6件来ています。可能なら、熊本に来ていただければということで、投げかけています。交通費は病院でお出しできるので」
ここ1カ月の間に、関東に住む女性など、あわせて6人から「内密出産の費用が払えない」という趣旨の相談が寄せられたといいます。うち1人は実際に来院しました。
慈恵病院・蓮田健院長
「孤立している女性は、精神的にいっぱいいっぱいで、お金もないですし、そういった不安な状態の中で、病院側とお金の交渉をすること自体がとても辛い。だから、それだけでもハードルになる。賛育会病院には、今一度、どうして内密出産を提供しないといけないのか、どういう人たちが内密出産を求めているのかということを、もう一度考え直してもらって、女性たちを受け入れられるようなシステムにしないといけない」
賛育会病院は、KABの取材に対し「母子の安全を最優先に対応する」としています。