熊本市立中学校に通っていた生徒が同級生から金銭をだまし取り、被害生徒が精神的苦痛を受けたと訴えていた問題で、第三者委員会が報告書を提出しました。
2023年度に当時中学3年生だった女子生徒が、SNS上で別の人物になりすまし、同級生2人から複数回にわたり合計18万円をだまし取ったとして、被害生徒2人が精神的苦痛といじめを受けたと訴えていました。
熊本市は「いじめ重大事態」と認定し、2024年5月に弁護士や学識者による第三者委員会を設置。19回にわたる審議で、生徒が小学6年の8月から約4年にわたり、SNS上で100人以上の架空人物になりすまし、被害生徒たちとやりとりを行ってマインドコントロールし、徐々に精神的に支配していたことが推認されるとしています。
やりとりのなかでは「突然死んでしまうかもしれない」「あなたを殺しに来る」などと脅し、金銭の要求などアクションを求めていたとしています。
また、被害を訴えていた2人のほかにも、第三者委の聞き取りで1人の被害が判明。「保護者が訴えていたが学校に取り合ってもらえなかった」としました。
このほか、学校側が保護者からの訴えを受けて、いじめではなく詐欺事件と判断し警察への相談を促し、生徒への聞き取りなどを行っていなかったことや、事態発覚後の被害生徒への支援など、学校の対応にも問題があったと指摘しました。
第三者委では「やりとりが他人の目に触れにくいため、いじめの発見が遅れた。危険性を高めたと考えられる」とし、SNSの利用の規制を自治体や国レベルで考えていく必要があるのではないかとしました。また、学校長がいじめや重大事態の認識を改める必要があること、被害生徒への寄り添った対応や平時から児童生徒や保護者に対するいじめに関する教育の推進、熊本市教委には「いじめ専任サポーター」など体制づくりを提言しています。