電話でお金詐欺の被害者の男性に話を聞くことができました。スピード感のある手口で、詐欺だと疑う余地もなかったといいます。
4月8日午前9時ごろ、熊本県美里町の男性(83)のもとにかかってきた電話。息子を名乗る男から「株の配当で利益があり、税金を納めないといけない」という内容で、この日のうちに、80万円をだまし取られる被害に遭いました。
男性
「きょう中に納めれば、逮捕されないで済むから、それを聞いて一生懸命、足しになるようお金を集めたところが、のせられた」
この事件の受け子とみられる男が14日に逮捕されました。
記者
「詐欺かな?と疑うことはなかったですか?」
男性
「とにかく早く渡さないと、というのが一番で、銀行の口座もストップかけられていると、そういう脅し文句を言って、急いでいるから、わけが分からないですよね。独断で進めたのが失敗のもとだった」
電話は5分から10分おきに、あわせて10回以上かかってきたといいます。
息子を名乗る男は風邪気味だと話し、男性は違和感があったと言いますが―
男性
「何回か、息子とは違うよなという気もするけどと言うと『弁護士と変わりますから』とか、すぐ電話を変わる。変わって、金のおろし方とか、いろいろ説明したり、余裕を与えないんですよ。
『高校からハガキが来ていないね?ハガキが来ていたら、郵便物が来ていたら捨てずにとっておいて』と違う話も入れてくる」
息子が逮捕されるという情報に動揺した男性は、すぐに80万円を袋に入れて用意し。指定された場所で直接、渡しました。
最初の電話から渡すまで、わずか4時間の出来事でした。
直後に、さらに200万円を要求してきましたが、家族と警察に相談し「だまされたふり作戦」を実行、待ち構えていた警察が現金を受け取りに来た受け子とみられる男を現行犯逮捕しました。
記者
「高齢者を中心に狙われていますけれども、何を意識したらいいと思いますか?」
男性
「子ども、孫の名前を出してくるから(本人に)電話連絡をして、健在かどうか確かめる余裕を持ってすれば、おさえられると思います」
自分が被害にあうとは思っていなかったという男性。80万円は返ってきておらず、今は、固定電話が鳴ると不安になるので、電話線を抜いているといいます。
電話でお金詐欺ですが、被害があとを立ちません。今年1月から4月時点で、認知件数は73件、被害額は3億8600万円です。
去年の同時期と比べて58件、被害額は3億4000万円増えています。
4月だけでも、認知件数は35件、被害額は2億5300万円で、熊本県警は、注意を呼びかけています。