去年4月、熊本県立鹿本高校のサッカー部員が救急搬送された落雷事故で、医師や弁護士らで構成する調査委員会の猿渡健司委員長は20日、報告書を越猪浩樹教育長に手渡しました。
越猪浩樹教育長
「県教育委員会としまして、学校やスポーツ団体に事故の未然防止対策の徹底を呼びかけ、二度とこういう事故が起こらないよう再発防止に努めてまいりたい」
この事故は、去年4月、宮崎市内のサッカーグラウンドに雷が落ち、現地に遠征していた鹿本高校のサッカー部員18人が病院に搬送されるなどしました。一時心肺停止の状態だった1人の生徒はすでに卒業し、今も県内の病院に入院中です。まだ完全には意識が戻っていないものの、音に反応するなど少しずつ回復しているということです。
報告書では、指導者らの対応が検証されました。
宮崎市内には事故の前日から雷注意報が出ていましたが、サッカー部の監督らはこの情報を把握していませんでした。また、事故当日の午前中グラウンドでは雷鳴が聞こえていましたが、落雷予測を確認することはありませんでした。
ただ、気象庁のホームページでは、事故が発生した時間帯に、周辺で落雷の可能性が高まる予測が、事故の30分前にも出ていたということです。
報告書では「事故発生の要因は客観的に落雷がありうる状況で屋外での活動を継続していたこと」と指摘しました。
また、屋外活動の責任者や担当者が雷についての最新の正確な知識を習得し、雷注意報を確認したうえで、落雷の危険があるときは、躊躇することなく屋外行事を停止し、安全な建物の中に、生徒たちを避難させることなどを提言しています。