国が川辺川に建設予定の流水型ダムをめぐり、球磨川漁協は、国土交通省から漁業補償交渉の申し入れがあれば、受け入れる方針を明らかにしました。
川辺川流域に漁業権を持つ球磨川漁協は、これまでに九州地方整備局川辺川ダム砂防事務所に対して、ダム計画に関する11項目の要望書を提出。魚が上流と下流を行き来できる「魚道」の整備や、流入する土砂を減らすための山林整備などが主な内容でした。
これに対し、川辺川ダム砂防事務所は、15日に文書で回答し、環境への負荷を減らす取り組みを説明したということです。
球磨川漁協の堀川泰注組合長は「満足のいく回答だった」と評価。ダム建設によって、損害が出る漁業者に金銭補償する漁業補償の交渉申し入れが国交省からあった場合は、協議を始める考えを明らかにしました。
川辺川ダム砂防事務所は「漁協との協議は個別の話なので、お答えできない」としています。
水の流れに逆らって遡上するアユ。川辺川ダム砂防事務所が公開した実験の映像です。流水型ダムをめぐり、国土交通省は去年10月、環境アセスメントの最終段階となる環境影響評価レポートを公表。今回の実験は、レポートに基づく環境保全措置の一つとして、4月と5月に1回ずつ旧ダム計画で川辺川沿いに整備された長さ約575メートルの仮排水路トンネルを使用して行われました。
2回の実験では、下流側のトンネル出口で球磨川産のアユを放流し、上流側のトンネル入口までアユが遡上したことが確認されたということです。
川辺川ダム砂防事務所は、今後、トンネル内の水の流れの速さを抑制する対策なども検討するとしています。