飲酒運転で女性をはね死亡させた罪に問われた男の裁判員裁判が21日結審し、検察側は懲役12年を求刑しました。
熊本市中央区の元飲食店従業員、松本岳被告(24)は去年6月、飲酒運転で車をバックさせるなどし、熊本市児童相談所職員の横田千尋さん(当時27歳)をはね、死亡させるなどした罪に問われています。
争点となっているのは、危険運転致死傷罪の成否です。
これまでの裁判で、検察側は「バック走行も考慮すべき」と主張。一方、弁護側は「バック走行は法律の要件に記載されていない」と反論しています。
検察側は、21日の論告で、飲酒運転などの発覚をおそれ犯行に及んでおり、動機は身勝手で非難の程度は重いなどと指摘し、懲役12年を求刑しました。
これに対し、弁護側は最終弁論で、被告には前科・前歴がなく今後飲酒や車の運転をしないと話している点などを考慮してほしいと訴えました。
松本被告は最後に「重大な事故と重大な罪への謝罪の気持ちを忘れず、償いをし続けます。許されることはありません。愚かな運転で尊い命を奪ってしまい、本当に本当に申し訳ございませんでした」と述べました。
裁判では、被害者参加人の代理人が量刑について意見を述べました。
「被告人の行為は危険運転致死傷罪の中でも類例を見ないほど危険かつ悪質な行為」「徹底した反省を促し社会人として最低限度の法律を守る意識を持ってもらうため、懲役20年が相当」としました。
判決は27日に言い渡される予定です。