コメ不足と価格高騰を受けて、大幅な転作を決意した農家がいます。
熊本県菊陽町の上田友和さん。6月下旬、田植えの前の「しろかき」をしていました。しろかきとは、土と水を混ぜて土壌を平らにし、コメの成長をよくするために大切な作業です。
上田さん
「おいしいコメになればいいなって」
上田さんは、借地も含め11ヘクタールの農地を運営し、食用米や飼料米、大豆などを栽培していましたが、昨今のコメ不足を受け、大きな決断をしました。
上田さん
「去年までは、食用米を0.5ヘクタール程度植えていたんですけど、今回のコメ不足とか兼ね合いもありまして、11ヘクタールに食用米を変えました」
すべての農地で、食用米を栽培することにしました。
上田さん
「迷いはなかったですね。連日ニュースでそういう話を聞くと、自分たちも悲しくなるし、どうにかならないものか。本当に雀の涙のレベルなんですけど、自分たちのできることからやるしかないと」
九州農政局によりますと、今年4月末時点で、全国の食用米の作付面積は、前年に比べて7.5万ヘクタール増加し、熊本県内でも、600ヘクタールが増えるとみられます。
これまでの飼料米では、10アールあたりの経費は4万円程度でしたが、食用米はそのおよそ倍の8万円程度かかり、上田さんは、大幅なコスト増加というリスクを抱えることになります。
上田さん
「やっぱり大変です。大変ですけど、消費者のことを考えれば、みんなが笑顔になればいいのかなと思います」
数日後、田植えを迎えました。
ただ、この暑さで、高温障害も懸念され、その対策としての田んぼの水の入れ替えなどにも、手間とコストがかかります。
上田さん
「全部かみ合って美味しいコメになると思うので、十分注意しながら管理作業をしながら、美味しいコメにつなげていく努力はします」
安定した収入が得られていた飼料米から、食用米に切り替える決断が、秋に実を結ぶことを今は、願っています。
上田さん
「楽しみだけですね、もう頭の中は収穫の黄金色のコメになっているのが想像つきます」