全国的には自民党の大敗で幕を閉じた参院選。熊本県民の投票行動から、次なる政治決戦八代市長選の行方を占います。
8月31日投開票の八代市長選は、現職で4期目を目指す中村博生さんと、新人で元熊本県副知事の小野泰輔さんの一騎打ちとなる公算が高くなっています。
互いに無所属ではありますが、中村さんは自民党の推薦を得て戦います。
小野さんは元日本維新の会の衆議院議員、参院選では立憲民主党からの出馬要請を断った経緯があります。
構図はどのようになるのか、カギを握るのは?政治学者の崇城大学今井亮佑教授に聞きます。
■自公VS反自公の構図になる?
今井教授
「事実上、自公対反自公の構図になる可能性はありますが、表面上は政党間の対決にはならないと考えています。争点は、中村市長の3期12年に対する評価や県南振興などになると考えられ、政党間の対決よりも、候補者間の対決になると考えられます」
「さらに、小野さんに関しては、無所属で戦った方が有利といえます。仮に反自公という色合いが濃くなってしまうと、自民・公明支持層のなかで中村市政に不満を持っている人の票をとれなくなってしまう恐れがあるからです。ただ、あくまでも表面上の話で、自民党、公明党が中村さんを推薦する以上は、非自民の各党は勝手連的に小野さんを応援する形になると思います」
■参院選の投票行動から
参院選熊本選挙区の八代市の得票数を見るとトップは自民党馬場さんでしたが、それ以外の票を単純に足し合わせると、馬場さん票を上回ります。
カギを握るのが、参政党が獲得した票の行方です。
ある自民党関係者は「勝負は五分五分。参政党の山口さんの票は政権批判票であるため、3分の2は小野さんに流れるんじゃないか」とする一方で、小野さんを応援するとする立憲民主党の関係者は「多選批判と、知名度のある小野さんへの期待で100%小野さんが勝つと思っていたが、参院選で想像以上に参政党が票を獲得したため、不気味に感じている」と話しています。ともに、参政党票の行方を気にしている状況です。
今井教授
「参政党の話をおいて、別の観点から影響を考えてみますと、選挙疲れというものが考えられる。一般的に大型選挙のあとは、動員をかける組織が選挙疲れしていて、選挙活動が活発にならないことがある。有権者も、選挙が続くことによって、投票に行くのが面倒だなと感じる人が出てくることがある。一般的に、投票率は下がりがちになる、そうすると、組織戦を展開する候補者には、不利に働くということがある」
「参政党に投じられた票の中身を考えると、当然、政権批判票はあるが、既成政党に対する不信感から参政党に投じられた票もある。その点からは、参政党だから投票したということがあるわけで、今回の八代市長選は、参政党の候補者は出ていませんから、そういった有権者は投票に行かないということも考えられます」
「トータルで考えると、投票率があまり上がらない中で、中村市政3期12年の実績を問う選挙になるのではないか、と思います」
八代市長選は8月24日告示、31日投開票です。