牛舎建設の補助金をめぐり、熊本県阿蘇市が農事組合法人に支払った賠償金について、市民団体が市に対し当時の市長に請求するよう求めた裁判の控訴審判決で、福岡高裁は市の控訴を棄却しました。
熊本地裁は、2021年5月、阿蘇市の農事組合法人の牛舎の建設に関する国の補助金の交付を独断で取り消したのは違法として、阿蘇市に対して7200万円あまりの賠償を命じました。
判決は確定し、阿蘇市は全額を支払いましたが、佐藤義興前市長に対する損害賠償請求権の行使を阿蘇市が違法に怠っているとして、2022年3月に今回の訴訟が起こされました。
熊本地裁は去年9月、原告の訴えの大部分を認め、阿蘇市に対し、佐藤前市長へ8300万円あまりを請求するよう命じ、阿蘇市は判決を不服として控訴していました。
25日の控訴審判決で、福岡高裁の新谷晋司裁判長は「佐藤前市長が補助金の交付決定に無効や取り消しの事由が認められないと予見することは十分に可能であった」などとして、一審判決を支持し、控訴を棄却しました。
阿蘇市の松嶋和子市長は「市の主張が認められなかったことは、司法としての一定の整理、判断がなされたものと理解している」などとコメントしています。