原爆が投下されて80年。「核なき世界」の実現へ何が必要なのか、議論を高めることが求められています。
「日本も核武装すべきだと主張する国会議員の方が当選する時代になりました」
「日本が核兵器を持つことは法的にも、現実的にも人道的にもできません」
7月の参院選後に熊本市の大西一史市長がSNS上で発信した内容が注目を集めています。
「核武装が最も安上がり」と主張した参政党の候補が当選したことを受け、投稿したと言います。
大西市長
「安易に核武装であるとか、そういった話題が出てしまうのは、これは非常に由々しき事態だと思いました」
日本は核拡散防止条約の加盟国で「核兵器をつくることは事実上、不可能」脱退すれば「国際社会から孤立」するとし、核兵器に頼らない世界の実現する道を堅持すべきとしました。
とはいえ日本は「核なき世界」を目標に掲げながら、核兵器禁止条約には加わらず、安全保障上の理由からアメリカの「核の傘」に頼っている状態です。
大西市長
「核の傘の中にいるからそういうアクションできないってことは、僕はやっぱり違うと思いますね。実際、そういう核抑止力という中で現実は動いているものの、やっぱり廃絶に向け、どうやって行動していくのか」
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この発信については、専門家らも評価しています。
沖縄国際大学の前泊博盛教授は「核武装に反対という政治スタンスを明確にしたもので評価できる」。
長崎大学核兵器廃絶研究センターの西田充教授は「被爆地以外の自治体から声が上がることで、被爆地だけの問題ではないと国民全体に知らせることになる」としました。
また、「核なき世界」の実現については、西田教授は「単に核兵器の非人道性を訴えて禁止したりすればいいというものではなく、根源的なところから対処していく必要がある」。
前泊教授は「軍拡でしか国家の安全を保障できない愚かな政治家を選んだツケが、核武装論という極論を再来させている必要なのは対話=外交力です」としています。