記録的な猛暑の中、一部の調理現場は過酷な状況となっています。
給食室への設置率が、わずか4%だった熊本市が、エアコンの緊急整備に乗り出しています。
熊本市中央区にある碩台小学校。給食室では エアコンの取り付け作業が進められていました。
(給食技師)
「すごくホッとしています。念願の空調なので私たちもそうなんですけど、子どもたちのためにも、衛生面とかすごく前向きでとても良かった」
この給食室でつくるのは、児童と教師などあわせておよそ170人分の給食。主食がパンの日は2人、ごはんの日は、3人の調理員が作業にあたります。
(給食技師)
「私たち職員は、途中、水分補給とか休憩とかをはさみながら倒れないように気をつけて、あと衛生、食中毒とかを出さないように気をつけながら作っていた」
給食室での作業は1日あたり6時間から7時間ほどに及びますが、虫やごみが入らないよう、窓は閉め切ったまま。室内の温度は40℃以上にまで上昇しますが、8月までエアコンは設置されていませんでした。
持ち運び式の小型クーラーを置くなど暑さ対策を講じてきましたが…
(熊本市・大西一史市長)
「6月30日から7月11日までの間で病院に受診した調理員が8名。うち2人は症状が重くて救急搬送」
これを受けて、市教育委員会は急遽、献立を変更。調理の際に、室内が高温になる揚げ物と生野菜を使用するサラダや和え物の提供を取り止めました。
望ましい栄養量などを定めた国の基準を満たせない日もありましたが、調理員の安全や食中毒の危険性を考えるとやむを得ない判断だったとしています。
熊本県内の給食室のエアコン設置率は、去年9月現在でおよそ40%と、全国ワースト2位です。
特に熊本市は設置率が低く、7月末現在でエアコンが設置されていたのは85施設中、わずか3施設のみでした。
(熊本市・大西一史市長)
「現在、本市の小中学校の給食調理室にはエアコン等の空調設備がありません。連日猛烈な暑さが続いていることから、調理員の熱中症が増加しております。
そこで、このたび、子どもたちに安全安心な給食の提供を続けていくためにも、空調設備のない全ての調理室のエアコンを緊急整備することといたしました」
大西一史市長は7月、市内すべての給食室にエアコンを緊急整備する方針を表明。
必要な事業費25億4000万円を含む一般会計補正予算案を、1日に開会した市議会に提案しました。
新たにエアコンが設置された碩台小学校の調理室では、冷房の効いた室内で作業をする調理員の姿がありました。
(給食技師)
「暑かった7月の思いをするととっても快適です。30℃を下回っているので作りやすいです。汗をかかなくなったので水分補給に行かなくてよかった。食中毒警報も出ているので安心です」
白山小学校の給食室にも夏休み中にエアコンが設置され、2日、大西市長が視察に訪れました。
(熊本市・大西一史市長)
「かなり過ごしやすくなって快適になったと(調理員が)おっしゃっていますので、本当に良かったなと思ってる」
夏休み中にエアコンを設置できたのは30施設で、今後 冬休みなどを利用しながら、来年6月までにすべての給食室に設置する予定です。